耐性菌とは?原因・問題点・私たちにできる対策を薬剤師が解説

耐性菌の基本を解説する記事のアイキャッチ画像 薬剤師ノート

耐性菌とは、これまで効いていた抗菌薬が効きにくくなった細菌です。

誤解されやすいのですが、人の体が抗菌薬に慣れるのではなく、細菌の側が薬に対する抵抗性を持ちます。

この記事では、耐性菌が生じる仕組み、なぜ問題なのか、私たちにできる対策を整理します。

耐性菌とは

細菌は増える過程で遺伝子が変化したり、ほかの細菌から耐性に関わる遺伝子を受け取ったりすることがあります。その結果、抗菌薬の作用を受けにくい細菌が生じる場合があります。

抗菌薬を使うと、薬が効きやすい細菌は減ります。一方、耐性を持つ細菌が生き残ると、その細菌が増えやすくなります。これを「選択圧」と呼びます。

耐性菌が増える主な要因

要因具体例
必要のない使用ウイルス性の風邪に抗菌薬を使う
適切でない使用病状に合わない薬・量・期間で使用する
自己判断での使用残った薬を飲む、他人に渡す
感染対策の不足手指衛生が不十分で、耐性菌が人や環境を介して広がる

耐性菌は抗菌薬の使用だけでなく、人から人、医療環境、動物や環境などを通じて広がることがあります。そのため、抗菌薬の適正使用と感染予防の両方が必要です。

耐性菌が問題になる理由

  • 通常の抗菌薬では治療できない場合がある
  • 使用できる抗菌薬が限られ、治療が複雑になる
  • 副作用が多い薬や点滴薬が必要になることがある
  • 入院期間が長くなる可能性がある
  • 周囲の人や医療機関内へ広がる可能性がある

耐性菌を保有していても症状がない「保菌」の状態もあります。保菌と感染症は同じではなく、耐性菌が検出されたからといって必ず治療が必要になるわけではありません。

WHOのAWaRe分類とは

世界保健機関(WHO)は、抗菌薬を耐性菌への影響や役割に応じて「Access・Watch・Reserve」の3群に分類しています。これは個人が薬を選ぶためではなく、抗菌薬の使用状況を評価し、適正使用を進めるための枠組みです。

分類位置づけ
Access一般的な感染症で第一・第二選択となる薬を含み、必要な場面で利用しやすくしておく群
Watch耐性菌を選択する可能性が比較的高く、適応を慎重に判断して使用状況を監視する群
Reserve多剤耐性菌などで、ほかの選択肢が使えない場合に備える群

「Accessなら自由に使ってよい」「Reserveは強いから優れている」という意味ではありません。感染部位、原因菌、患者さんの状態などに合わせて選びます。

私たちにできる5つの対策

1.抗菌薬を希望だけで求めない

風邪の多くはウイルス性です。抗菌薬が必要かどうかは、診察や検査結果をもとに医師が判断します。

2.処方どおりに服用する

量・回数・期間を守り、自己判断で中止・延長しないでください。変更が必要な場合は、処方した医師や薬剤師へ相談します。

3.残った抗菌薬を使わない・渡さない

別の機会に自己判断で使用したり、家族や知人へ渡したりしないでください。残薬の扱いは薬局へ相談できます。

4.手洗いなどの感染対策を続ける

手指衛生、咳エチケット、食品の衛生管理などは、感染症と耐性菌の拡大を防ぐ基本です。

5.推奨されるワクチンを検討する

感染症そのものを予防できれば、抗菌薬が必要になる機会を減らせる場合があります。接種対象や時期は、年齢や基礎疾患に応じて医療機関へ相談してください。

日本の耐性菌対策

日本では「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023~2027年)」に基づき、普及啓発、動向調査、感染予防、抗微生物薬の適正使用などが進められています。

厚生労働省は2026年1月に「抗微生物薬適正使用の手引き 第4版」を公表しました。医療現場では、医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師などが連携し、必要な患者さんへ適切な抗菌薬を届ける取り組みが行われています。

抗菌薬そのものについては、抗菌薬とは?風邪に効かない理由と服用時の注意点で解説しています。

まとめ

  • 耐性菌は、抗菌薬が効きにくくなった細菌
  • 人の体ではなく、細菌の側が耐性を持つ
  • 不必要・不適切な抗菌薬使用と感染拡大の両方が問題になる
  • 抗菌薬の適正使用、手指衛生、ワクチンなどが対策につながる

この記事の情報について

  • 情報の確認日:2026年8月25日
  • 執筆者:たつまる(病院薬剤師・抗菌化学療法認定薬剤師)
  • 確認先:厚生労働省、内閣官房、世界保健機関(WHO)

参考資料:
厚生労働省|薬剤耐性(AMR)対策
内閣官房|薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023~2027年)
WHO|AWaRe classification of antibiotics 2025

本記事は一般的な情報を整理したもので、個別の診断や治療に代わるものではありません。

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