インフルエンザワクチンはいつ打つ?子ども・大人の接種回数とフルミストの違い

インフルエンザワクチンの接種時期・回数と、注射・フルミストの違い 薬剤師ノート

対象シーズン:2026/27(2026年秋〜2027年春)
情報確認日:2026年9月15日

家族のインフルエンザ予防接種を考えるときは、「いつ受けるか」だけでなく、年齢による必要回数と、選べるワクチンの種類を一緒に確認すると予定を立てやすくなります。

国内で一般的に使われる注射のワクチンは、生後6か月以上13歳未満では2回、健康な成人では通常1回です。一方、鼻に噴霧するフルミストは、2歳以上19歳未満を対象に1回接種します。ただし、持病や使用薬によって選べない場合があります。[1,3,4]

この記事では、日本で接種を検討する本人・保護者向けに、標準用量の注射のインフルエンザHAワクチンと、国内承認のフルミストを整理します。個別の接種可否は、接種前の診察で医師が判断します。

インフルエンザワクチンはいつ打つ?

厚生労働省は、例年の流行を踏まえ、12月中旬までに接種を終えることが望ましいと説明しています。ただし、これは「12月まで待つ」という意味ではありません。地域の流行や医療機関の接種開始日を確認し、必要な回数を終えられるように予定を立てます。[1,2]

接種直後から十分な予防効果が得られるわけではなく、抗体ができるまでには一般に約2週間かかります。米国CDCもこの目安を示していますが、日本での対象年齢・回数は国内の添付文書を確認する必要があります。[5]

2回接種の子どもは、2回目から逆算する

生後6か月以上13歳未満の注射は、およそ2〜4週間の間隔で2回接種します。添付文書では、免疫効果を考慮すると4週間あけることが望ましいとされています。[3]

例えば、10月に接種を開始できる医療機関であれば、次のように予定を立てられます。

接種計画の例:10月に1回目 → 約4週間後の11月に2回目

これは日程の組み方を示した例であり、すべての人に同じ月を推奨するものではありません。予約状況や体調で変更が必要になった場合は、接種先へ相談してください。

予約時に「2回目も同時に予約できるか」まで確認しておくと、1回目だけで予定が止まるのを防げます。

子ども・大人は何回?年齢別の接種回数

以下は、国内の標準用量の注射とフルミストの整理です。海外での接種回数や対象年齢を、そのまま当てはめないでください。[1,3,4]

年齢注射のHAワクチンフルミスト
生後6か月未満対象外対象外
生後6か月〜1歳2回対象外
2〜12歳2回1回
13〜18歳通常1回※1回
19歳以上通常1回※対象外

※13歳以上の注射は、添付文書上は「1回又は2回」です。健康な成人等では通常1回ですが、個別の回数は医師に確認してください。高齢者等の定期接種は毎年1回です。「13歳以上は例外なく1回」とは言い切れません。[1,3,6]

フルミストは、国内では2歳以上19歳未満に1回接種です。 左右の鼻にそれぞれ噴霧することを「2回接種」と数えるわけではありません。[4]

注射とフルミストは何が違う?

フルミストには針を使わないという特徴がありますが、痛みや通院回数だけで決めるのではなく、接種できる条件まで確認します。[3,4]

比較項目注射のHAワクチンフルミスト
ワクチンの種類不活化ワクチン弱毒生ワクチン
接種方法皮下注射鼻の中へ噴霧
年齢の範囲生後6か月以上2歳以上19歳未満
注意点の例過去の重いアレルギー、持病などを確認左記に加え、免疫抑制状態・治療、妊娠、喘息・喘鳴、使用薬などの確認が重要
選ぶときの考え方年齢と必要回数、体調、費用を確認対象年齢に加えて安全性上の条件を確認し、針を使わないことや通院負担も含めて相談

※この表だけで接種の可否は判断できません。接種できない条件と、注意して評価する条件は異なります。具体例を次の節で整理します。[3,4]

「注射は効きにくい」「フルミストの方が必ずよく効く」といった一律の選び方は避けましょう。ワクチンの効果は、シーズン、接種する人の年齢・健康状態、流行するウイルスとの一致度などで変わります。本記事では、異なる条件の研究から有効率だけを並べて優劣をつけません。[5]

接種前に相談したい持病・アレルギー・使用薬

フルミストを接種できない条件と、注意が必要な条件は分ける

フルミストは、明らかな免疫機能の異常がある人、免疫抑制を来す治療を受けている人、明らかに妊娠している人などには接種できません。また、明らかな発熱、重い急性疾患、ワクチン成分によるアナフィラキシーの既往なども確認が必要です。[4,7]

一方、重度の喘息や、ゼーゼー・ヒューヒューする喘鳴は、添付文書では接種を慎重に判断する条件です。 これを「喘息なら全員、添付文書上の接種不適当者」と読み替えるのは正確ではありません。ただし、喘息で治療中の人は、最近の症状と使用薬を伝え、注射のワクチンも含めて主治医へ相談してください。[4]

妊娠中の注射のHAワクチンは、一律に接種できないわけではなく、予防接種の利益とリスクを踏まえて判断されます。[3]

フルミストを検討する人は、妊娠の可能性・予定や授乳について、予約前に医師へ伝えてください。添付文書では、妊娠可能な人は接種前約1か月間避妊した後に接種し、接種後約2か月間も妊娠を避けるよう示されています。また、接種を受ける本人が授乳中の場合は、接種後1〜2週間、乳児との接触を可能な限り控える注意があります。注射のワクチンも含め、接種方法と時期を相談してください。[4,7]

お薬手帳には「最近使った薬」も含める

フルミストでは、経口・注射の副腎皮質ホルモン剤や免疫抑制剤が併用禁忌とされています。抗インフルエンザ薬はワクチンの効果に影響する可能性があり、アスピリンなどにも併用上の注意があります。[4]

薬の名前だけでなく、飲み薬・吸入薬・注射などの使い方、最後に使った日を伝えます。「ステロイド」という名前だけで自分で可否を判断したり、接種のために処方薬を中止したりせず、医師・薬剤師に確認してください。

家族の免疫状態や、過去のアレルギーも伝える

フルミストの接種後は、重度の免疫不全の人との密接な接触を1〜2週間、可能な限り避けるよう案内されています。同居家族などに該当する人がいる場合は、予約前に相談してください。卵・鶏由来成分やゼラチンへのアレルギー、過去のワクチン接種後の反応も、種類と症状を具体的に伝えます。[7]

これらは主な確認事項であり、すべての注意点を列挙したものではありません。「持病があるから全部だめ」「対象年齢だから必ず受けられる」と自己判断しないことが重要です。

接種すればインフルエンザにかからない?

ワクチンは、感染・発症を完全に防ぐものではありません。一方で、発症を減らし、重症化を予防する一定の効果が期待されます。「接種したのにかかった」という事実だけで、予防接種全体に意味がないとは判断できません。[2]

また、免疫は時間とともに低下し、ワクチンに用いるウイルス株も見直されます。過去に接種した経験だけで今年も十分に守られると考えず、そのシーズンの接種を検討します。効果の大きさをすべての年齢・シーズンで同じ数値として示すことはできません。[5]

副反応と、接種後に受診したい症状

注射では接種部位の赤み・腫れ・痛み、発熱やだるさなどがみられ、通常は2〜3日で軽快すると説明されています。フルミストでは鼻水・鼻づまり、咳、のどの痛み、発熱などが報告されています。別々の試験の頻度を並べて、どちらが安全と決めることはできません。[2,4]

どちらも、重いアレルギー反応に注意が必要です。接種後の待機・観察は医療機関の指示に従ってください。息苦しさ、意識が遠のくなどの症状が出たときは、直ちに医療者へ知らせ、帰宅後であれば救急受診を求めてください。 高熱やけいれん、強い体調の変化がある場合も、接種の影響と決めつけず診察を受けます。[2,7]

フルミスト後にインフルエンザの検査を受ける場合は、接種日も伝えましょう。ワクチン由来のウイルスが検出される場合があるためですが、検査結果や症状を自己判断してよいという意味ではありません。[4]

費用は「1回の料金」ではなく、必要回数を含めて確認する

インフルエンザの予防接種は、通常の病気の治療と違い、健康保険の給付対象ではありません。料金や自治体の助成内容は一律ではないため、医療機関と居住地の自治体に確認します。[1,2]

定期接種の対象は、原則として65歳以上、または60〜64歳で一定の障害がある人です。後者は、心臓・腎臓・呼吸器の機能障害で日常生活が極度に制限される場合や、HIVによる免疫機能障害で日常生活がほとんど不可能な場合など、所定の条件があります。単に「60歳以上で持病がある人」全員ではありません。[1,6]

比較するときは、次の形で家族1人ずつ整理すると分かりやすくなります。

自己負担の見積もり=必要回数分の助成前の料金合計-適用される助成額

すでに助成後の窓口料金が示されている場合は、助成額を二重に差し引かないようにします。これに加えて、通院回数・交通費・付き添いに必要な時間も確認します。

例えば2〜12歳の子どもでは、注射は2回分、フルミストは1回分の料金を比較します。1回当たりの表示料金だけで高い・安いを判断せず、助成の対象となる年齢・製剤・回数・期間も確認してください。[2,3,4]

2026/27シーズンで確認しておきたい変更点

2026年度の国内インフルエンザHAワクチン製造株は、A型2株とB型ビクトリア系統1株です。「何種類入っているか」という数字だけでなく、対象シーズンの資料を確認することが大切です。[8]

高齢者向けの高用量ワクチン「エフルエルダ筋注」は、サノフィの2026年7月21日付発表で発売延期が示され、2026/27シーズンの定期接種への導入は見送られています。「2026年秋から75歳以上は高用量へ切り替わる」という従来の予定を、そのまま予約の前提にしないでください。 同発表では新たな発売日は示されていません。[9]

この情報は2026年9月15日時点で確認したものです。予約時には、自治体と接種先の最新の案内も確認してください。

予約前に確認すること

次の表を埋めてから予約すると、家族ごとの条件を整理できます。この表は、本記事で作成した確認用のひな型です。

確認すること記録する内容
接種する人年齢、持病、過去の接種後の反応
選べる製剤注射・フルミストの適否と、医療機関の取扱い
必要回数・日程1回目、必要なら2回目、変更時の連絡先
相談する情報お薬手帳、最近使った薬、アレルギー、家族の免疫状態など
費用必要回数分の料金、使える助成、必要書類

接種方法を選ぶ順番は、安全に受けられるか → 必要回数を終えられるか → 費用・通院負担はどうか、と考えると整理しやすくなります。フルミストが候補でも、年齢だけで決めず、持病・使用薬を伝えて相談してください。

参考資料

  1. 厚生労働省「インフルエンザワクチン」(掲載Q&Aの表示:2025年12月19日時点)。接種回数、費用、定期接種の対象など。
  2. 厚生労働省「令和8年度夏期 急性呼吸器感染症(ARI)等への対策に関するQ&A」(2026年度)。効果、接種時期、費用、副反応。特にQ27・Q29〜Q32。
  3. インフルエンザHAワクチン「生研」電子添文(2026年7月改訂、第10版)。国内の標準用量HAワクチンの用法・用量、接種間隔、注意事項の確認に使用。
  4. フルミスト点鼻液 電子添文(2026年8月改訂、第6版)。対象年齢、回数、接種不適当者・要注意者、相互作用、副反応など。
  5. CDC「Key Facts About Seasonal Flu Vaccine」(ページ表示:2026年9月1日)。抗体形成の目安と、シーズンによる効果の違いなど。米国の接種年齢・回数・制度を日本へ転用したものではありません。
  6. 厚生労働省「65歳以上に実施している予防接種」。高齢者等の定期接種が毎年1回であることを確認。
  7. フルミスト点鼻液「ワクチン接種を受ける人へのガイド」(PMDA掲載)。一般向けの接種前後の注意、相談事項、緊急性のある症状。
  8. 厚生労働省「令和8年度インフルエンザHAワクチン製造株の決定について」(2026年6月4日)。
  9. サノフィ「高用量インフルエンザHAワクチン『エフルエルダ筋注』発売時期の変更」(2026年7月21日)。発売・供給に関する告知として参照し、製品の比較推奨には使用していません。

すべて2026年9月15日に確認しました。上記の確認表と日程例は記事独自の整理であり、公的機関の公式様式ではありません。接種可否や使用薬の調整は、担当医の診察と個別の判断が必要です。

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