2026年10月1日から、子育て中の国民年金第1号被保険者を対象に「育児免除制度」が始まりました。自営業やフリーランスなどで国民年金保険料を自分で納めている方は、対象期間の保険料が免除されます。免除された期間も、納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されます。[1]
ただし、免除される期間は父母の条件によって異なり、全員に自動で適用されるわけではありません。この記事では、対象になる人、免除期間、届出の進め方を整理します。
情報確認日:2026年10月14日
対象は子を養育する国民年金第1号被保険者
対象は、1歳になるまでの子を養育する国民年金第1号被保険者です。第1号被保険者には、20歳以上60歳未満の自営業者、フリーランス、学生、無職の方などが含まれます。[1,2]
基本となる条件は、子との親子関係があり、子と同じ住所で暮らしていることです。実父母・養父母のどちらも対象になり、夫婦ともに第1号被保険者で条件を満たしていれば、それぞれ免除を受けられます。[2,3]
法律上の実子・養子のほか、特別養子縁組の監護期間にある子や、養子縁組里親に委託されている子なども対象に含まれます。里親等の場合は、該当する区分と必要書類を公式案内で確認してください。[2]
所得制限や休業の条件はない
この制度には、所得要件も休業要件もありません。仕事を続けていることだけを理由に対象外にはなりません。勤務先の育児休業制度を利用できるかどうかとは分けて確認します。[4]
職業名だけで判断せず、まず自分が加入している年金の区分を確認しましょう。
| 年金の区分 | 今回の育児免除との関係 |
|---|---|
| 第1号被保険者 | 子の養育などの条件を満たす場合に対象 |
| 第2号被保険者 | 厚生年金に加入する会社員・公務員など。産休・育休中の保険料免除は別制度 |
| 第3号被保険者 | 第2号被保険者に扶養される配偶者。今回の制度の対象外 |
| 任意加入被保険者 | 今回の制度の対象外 |
会社員等の健康保険・厚生年金保険では、産休・育休について事業主が申し出る保険料免除制度があります。今回の国民年金の育児免除と、対象や手続きを混同しないようにしましょう。[2,5]
パートなどで勤務先の社会保険に加入するかを確認したい方は、106万円の壁撤廃と社会保険の加入条件も参考にしてください。
免除期間は父母の条件で異なる
育児免除の対象になるのは、2026年10月分以降です。出産した母親に産前産後免除期間があるかどうかで、期間の考え方が分かれます。[2]
産前産後免除期間がある実母
産前産後免除期間に続く9カ月間が、育児免除の対象です。[2,4]
国民年金の産前産後免除は、原則として出産予定日または出産日がある月の前月から4カ月間です。多胎妊娠では、その月の3カ月前から6カ月間になります。産前産後免除と育児免除は、期間を分けて確認します。[6]
実父や養父母など
実父・養父母と、産前産後免除期間がない実母は、子を養育することになった月から、1歳の誕生日の前月までが対象です。最長で12カ月間になります。[2]
「母親は全員9カ月」「父親は必ず12カ月」と一律には考えず、養育を始めた日や、産前産後免除の有無を確認することが大切です。
2027年5月1日生まれの子を出生時から養育する例
日本年金機構の例をもとに、期間を整理すると次のようになります。実母は単胎妊娠で、出産予定日と出産日がともに2027年5月1日、両親とも対象期間中は第1号被保険者として養育要件を満たす場合です。[2,6]
| 対象者 | 免除される期間 |
|---|---|
| 産前産後免除がある実母 | 産前産後免除は2027年4~7月の4カ月。育児免除は2027年8月~2028年4月の9カ月 |
| 出生時から養育する実父 | 育児免除は2027年5月~2028年4月の12カ月 |
出産予定日と実際の出産日が異なる場合などは、この例をそのまま当てはめず、自分の産前産後免除期間から確認してください。
2026年10月より前に生まれた子も確認する
制度開始前から子を養育していて、開始時点で1歳未満の場合も対象になり得ます。ただし、2026年9月分以前にさかのぼって、この育児免除が適用されるわけではありません。[2]
産前産後免除期間がある実母は、その期間に続く9カ月間のうち2026年10月分以降が対象です。実父・養父母などは、2026年10月分以降、1歳の誕生日の前月までの期間を確認します。[2]
届出は原則必要で 一部の実母は不要
条件を満たしたら速やかに届け出る
日本年金機構は、育児免除の要件を満たした日以降、速やかに届け出るよう案内しています。産前産後免除とあわせた届出も可能です。[2]
届出方法は、次のいずれかです。
- マイナポータルから電子申請する
- 住民登録のある市区町村の国民年金担当窓口へ届書を提出する
- 同じ窓口へ郵送する
届書は「国民年金産前産後免除該当届/育児免除該当・終了届」です。公式ページから様式と記入例を確認できます。[7]
届出が不要になる実母の条件
次の条件を満たす実母は、育児免除の届出が不要です。[2]
- 産前産後免除期間が2026年9月以降に終了している
- その後も引き続き子を養育していることを、日本年金機構が確認できる
- 基礎年金番号とマイナンバーがひも付いており、情報連携で親子関係と子との同一世帯が確認できる
育児免除の対象条件である「同一住所」と、届出不要の判定で確認される「同一世帯」は別です。同じ住所でも世帯が別の場合は、届出不要と自己判断せず、年金事務所へ確認してください。
該当者には、産前産後免除期間の終了後に「国民年金保険料育児免除該当通知書」が送られます。実父・養父母や、産前産後免除の届出が済んでいない実母は、手続きが必要です。[2]
産前産後免除を届け出たことがあるだけで、育児免除も済んでいると判断しないようにしましょう。育児免除の対象なのに産前産後免除の終了を知らせる案内が届いた場合は、育児免除の届出を行います。通知の内容が分からない場合は、年金事務所などへ確認してください。[2]
書類は申請方法と親子の状況で確認する
紙の届出では、マイナンバーまたは基礎年金番号を確認する書類などが必要です。マイナンバーを記載した届書を郵送する場合は、その都度、本人確認書類の写しを添付します。[2,7]
親子関係や同一住所を確認する書類は原則として添付不要ですが、外国籍の親や子、特別養子縁組の監護期間、里親としての養育などでは別途書類が必要です。すべての方が「書類なし」で手続きできるとは限りません。申請前に、公式案内の「必要な添付書類」を確認しましょう。[2]
前納済みや すでに別の免除を受けている場合
育児免除の対象期間について、すでに保険料を納めていても届出できます。納付済みの保険料は、ほかの保険料への充当または還付の対象になります。[2]
また、法定免除、通常の保険料免除・納付猶予、学生納付特例の対象期間でも、届出により育児免除期間として扱われます。育児免除では納付済みと同じように老齢基礎年金額に反映されるため、「すでに免除されているから関係ない」とは考えずに確認しましょう。[2]
口座振替やクレジットカードで前納している場合は、育児免除の終了後に振替方法が変わることがあります。充当・還付の扱いや、その後の支払い方法は年金事務所へ確認してください。[2]
なお、2026年度の国民年金保険料は月額17,920円ですが、複数年度にまたがる免除額をこの金額だけで計算することはできません。負担が軽くなる金額は、免除される月数と年度ごとの保険料で確認しましょう。[8]
途中で養育の条件を満たさなくなったとき
免除期間中に子と同居しなくなった場合など、要件を満たさなくなったときは、終了の手続きが必要です。要件を満たさなくなった日の翌日以降、速やかに届け出ます。子が1歳に達し、期間満了となる場合は終了届は不要です。[2]
就職などで加入する年金の区分が変わる場合も、育児免除をそのまま続けられると自己判断せず、資格の切替手続きとあわせて確認しましょう。
まずは年金の区分と通知を確認する
国民年金の育児免除は、第1号被保険者の子育て期間の保険料負担を軽くしながら、老齢基礎年金額には納付済みとして反映する制度です。
対象になりそうな場合は、自分の年金の区分、子の生年月日と養育を始めた日、産前産後免除の期間・通知を確認します。そのうえで、届出が必要かを判断し、分からない点を市区町村の国民年金窓口や年金事務所へ相談しましょう。
子育て期の家計全体を整理したい場合は、子育て世帯のお金の優先順位で、毎月の収支・生活防衛資金・教育費の準備を順に確認できます。
参考資料
[1] 日本年金機構「2026(令和8)年10月1日から国民年金保険料の育児免除制度が始まりました」(2026年10月1日更新)
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/kojin/2026/202610/100103.html
[2] 日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度」(2026年10月1日更新)。対象、期間、届出、添付書類、納付済み保険料、終了手続き。
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/ikujimenjo.html
[3] 厚生労働省「育児期間の国民年金保険料免除制度」。制度概要と対象。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000143356_00038.html
[4] 厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方 第2 公的年金制度の体系」。第1号被保険者の育児期間中の免除と、所得・休業要件。
https://www.mhlw.go.jp/stf/nenkin_shikumi_002.html
[5] 日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」(2026年10月5日更新)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/menjo/20140122-01.html
[6] 日本年金機構「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」(2026年10月1日更新)
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20180810.html
[7] 日本年金機構「ケース16 国民年金第1号被保険者が1歳までの子を養育しているとき」(2026年10月1日更新)。届書・記入例と郵送時の本人確認。
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kokunen/menjoyuyo/ikujimenjo.html
[8] 厚生労働省・日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度が始まります」(リーフレット)。2026年度の保険料月額。
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001686937.pdf
※この記事は制度の一般的な説明です。個別の対象期間や必要書類は、最新の公式案内と窓口の説明で確認してください。


コメント