2026年10月1日、SBI証券がこどもNISAの事前受付を開始し、信託報酬が年率0.00%の専用ファンド「ゼロカン」を発表しました。「それなら、この商品だけでよいのでは」と感じるかもしれません。
ただし、信託報酬0%という特徴と、教育資金の置き場所として適しているかは、分けて考える必要があります。投資対象、運用実績、使う証券会社、お金が必要になる時期、預金との配分まで確認しましょう。
この記事では制度全体の説明を繰り返さず、ゼロカンの商品条件と選ぶ際の判断軸を整理します。制度の枠・払出し・贈与の基本は、こどもNISAの基本で確認できます。
情報・商品条件の確認日:2026年10月1日。設定前の商品を含むため、予定と実施済みの内容を区別しています。特定商品の購入を勧めるものではありません。
2026年10月1日に何が発表された?
| 時期 | 内容 | 混同しない点 |
|---|---|---|
| 2026年10月1日 | SBI証券のこどもNISA事前受付開始/ゼロカン発表 | 受付開始日に投資できるわけではありません。 |
| 2026年11月17日(予定) | ゼロカンのファンド設定 | 設定日と、こどもNISAでの買付開始日は別です。 |
| 2027年1月 | こどもNISA制度開始。SBI証券では口座を順次開設する案内 | ゼロカンの積立設定・買付開始はサービス開始に合わせる予定です。 |
こどもNISAは0~17歳を対象とするつみたて投資枠で、年間投資枠60万円、非課税保有限度額600万円、非課税保有期間は無期限です。年齢判定は原則その年の1月1日時点で、出生年の子も対象になります。600万円を最初の年にまとめて投資できる制度ではありません。
12歳以降の払出しにも、教育費・生活費等の目的や子の同意に関する手続きがあり、いつでも無条件に引き出せる仕組みではありません。売却と口座からの払出しは区別して確認してください。18歳以降は成年者向けNISAへ自動移行する仕組みです。出典:財務省「令和8年度税制改正」、金融庁の制度説明、SBI証券のこどもNISA案内。
ゼロカンとは?
「ゼロカン」は商品愛称です。全世界株式を投資対象とする新しいインデックスファンドで、運用会社の正式発表とSBI証券の商品案内では次のように説明されています。
| 確認項目 | 2026年10月1日時点の公表内容 |
|---|---|
| 正式名称 | SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド |
| 運用会社 | SBIアセットマネジメント株式会社 |
| 連動対象 | MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース) |
| 投資対象 | 日本を含む先進国・新興国の株式。株式投資の運用指図権限の一部をステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社へ委託する予定 |
| 信託報酬 | 年率0.00%(税込) |
| その他の費用 | 監査報酬、売買委託手数料、信託事務諸費用、外貨建資産の保管費用など |
| 購入できる口座・販売会社 | こどもNISA専用。SBI証券のみで取扱い予定。つみたて投資枠対象として予定されている商品 |
| 設定日・実績 | 2026年11月17日設定予定。確認日時点では設定前で、当ファンド自身の実運用実績はありません。 |
| 18歳以降 | 新規購入・積立はできず、保有分は成年者向けNISAのつみたて投資枠へ移行し、信託報酬0.00%を継続する案内 |
出典:SBIアセットマネジメントの2026年10月1日発表(PDF)、SBI証券の商品案内。
信託報酬0.00%は、投資家が負担する費用がすべてゼロという意味ではありません。その他費用はファンドの資産から間接的に差し引かれ、運用結果に影響します。確認した発表資料だけでは、その総額・実績値や指数利用料の個別の扱いまでは確認できませんでした。交付目論見書の最終条件と、運用開始後の運用報告書での費用確認が必要です。
SBIオールカントリーとの違い:同時に発表された「SBI・オールカントリー・インデックス・ファンド」(愛称:SBIオールカントリー)は、成人向けNISA・課税口座・こどもNISAを含む全口座向けで、信託報酬は年率0.055%(税込)です。こどもNISA専用・年率0.00%のゼロカンとは別の商品です。両商品ともMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)への連動を目指しますが、利用できる口座とコスト設計が異なります。
SBIオールカントリーは2026年10月19日~11月16日に当初募集、11月17日に設定・通常購入と積立設定の開始を予定しています。ゼロカンも11月17日設定予定ですが、当初募集はなく、買付開始はこどもNISAの取扱開始日に準じます。両商品の販売会社は2026年10月1日時点でSBI証券のみと発表されています。名称が似ていても、後述の「オルカン」(eMAXIS Slim 全世界株式)とは区別してください。出典:SBI証券の商品概要、10月1日の公式発表(10月2日確認)。
信託報酬0%はどのくらい大きい?
費用の違いは、保有額と期間が大きいほど積み重なります。規模感をつかむため、保有額が常に600万円で変わらないという架空の前提で、信託報酬率だけを比較してみます。
| 仮の信託報酬率 | 1年分の単純計算 | 同額のまま20年分を足した場合 |
|---|---|---|
| 年0% | 0円 | 0円 |
| 年0.05% | 600万円 × 0.0005 = 3,000円 | 6万円 |
| 年0.1% | 600万円 × 0.001 = 6,000円 | 12万円 |
これは特定商品の総費用や将来の利益を示す試算ではありません。価格変動、積立中の残高変化、複利、信託報酬以外の費用は含めていません。制度上、初年度に600万円を一括で入れられるという意味でもありません。
実際の信託報酬は日々の純資産に応じて計算されます。同じ指数を目指しても、指数とのずれ、売買に伴う費用などで成績は変わります。「信託報酬差の分だけ必ず得をする」とは判断できません。
ゼロカンとオルカンは何が違う?
ここでは「オルカン」を、三菱UFJアセットマネジメントのeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の意味で用います。全世界株式ファンドという分類が同じでも、運用会社や口座条件まで同じになるわけではありません。
| 比較項目 | ゼロカン | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) |
|---|---|---|
| 運用会社 | SBIアセットマネジメント | 三菱UFJアセットマネジメント |
| 目標とする指数 | MSCI ACWI(配当込み、円換算ベース) | 同左 |
| 対象地域 | 日本を含む先進国・新興国 | 同左。地域の均等配分ではありません。 |
| 信託報酬(税込・年率) | 0.00% | 0.05775%以内。純資産総額に応じた段階料率あり。 |
| 設定・運用歴 | 2026年11月17日設定予定。実績なし。 | 2018年10月31日設定。既存の運用実績あり。 |
| 純資産総額 | 設定前のため比較できる実績値なし | 139,105.11億円(2026年10月1日基準) |
| 販売会社 | SBI証券のみの予定 | 複数の金融機関。取扱いは各社で確認。 |
| NISA・購入できる口座 | こどもNISA専用として予定。成年者向けで新規購入不可。 | 現行NISAのつみたて投資枠・成長投資枠対象。こどもNISAだけの商品ではありません。 |
| 成人後 | 保有分の0%は継続、新規購入・積立は不可の案内 | 年齢によるゼロカン固有の購入制限はありません。利用口座・販売会社の条件で確認。 |
比較条件は2026年10月1日に確認。オルカンの信託報酬は2026年7月25日使用開始の交付目論見書によります。有価証券貸付を行った場合の品貸料に連動する報酬が別途加算される仕組みがあり、その他費用も発生します。上表は総費用の比較ではありません。出典:公式ファンドページ、交付目論見書(PDF)。
地域構成も固定ではありません。確認時に掲載されていたオルカンの2026年8月月報(PDF)では、各マザーファンドの組入比率は国内株式5.1%、先進国株式(日本を除く)83.1%、新興国株式11.8%でした(8月31日現在)。これはゼロカンの実際の組入比率ではありません。同じ指数でも運用の方法や実際の組入れに差が生じる可能性があります。
ゼロカンには低い信託報酬という特徴があり、オルカンには確認できる運用履歴や複数の販売窓口があります。運用の委託先に経験があっても、新しいファンド自身の実績と置き換えることはできません。名称や費用だけで優劣を決めず、全世界株式に投資する仕組みとリスクも合わせて確認してください。
ゼロカン100%という考え方
こどもNISAの中を全世界株式ファンド1本にすれば、複数の商品を管理する手間を減らせます。幅広い国・企業へ分散し、低コストで継続する考え方は選択肢の一つです。
一方、国や企業を分散しても投資先が株式中心であることは変わりません。世界的な株安や為替変動で、入学金が必要な時期に評価額が下がる可能性があります。預金と同じ安全性が得られるわけではありません。
「こどもNISAの運用部分を100%ゼロカンにすること」と、「教育資金全体を100%ゼロカンにすること」は別問題です。口座の外に預金を確保していれば、家計全体での株式比率は違います。判断する単位は口座だけでなく、教育資金全体です。
ゼロカン100%以外の考え方
次は配分の正解ではなく、お金を目的ごとに分けるための例です。どれが合うかは、子どもの年齢、収入の安定性、既存の預金、支出予定によって変わります。
| 考え方の例 | 整理する内容 |
|---|---|
| A:口座と預金を分ける | こどもNISAは全世界株式とし、近い将来の教育費は預金で確保する。 |
| B:支払う年から分ける | 高校・大学の初年度に必要な資金を現金で確保し、10年以上先に使う資金だけを投資の候補にする。ただし長期でも元本保証はない。 |
| C:枠を埋めることを目標にしない | 家計の余力から積立額を決める。年間60万円・総額600万円は上限であり、達成義務ではない。 |
複数の全世界株式ファンドに分けても、同じ指数なら中身が大きく重なります。「商品数を増やすこと」と「株式以外も含めて資産を分散すること」も区別しましょう。
教育資金で一番重要なのは「使う時期」
まず、入学金・授業料・住居費などを「何年後に、いくら必要か」で並べます。そのうえで、値下がりしても支払いを待てる資金と、期日に必ず用意する資金を分けます。
例えば、大学入学直前の支払いを株式の売却だけに頼ると、相場が悪い時にも換金が必要になります。近い支出を現金で確保し、必要時期が近づいたら運用部分をどう移すかを前もって考えることが大切です。売却だけでなく、こどもNISAの払出し条件と必要な手続きも確認します。
具体的な準備の順番は、教育資金の貯め方|現金・NISA・学資保険の使い分けにまとめています。商品選びの一般的な確認項目は、NISA投信の選び方も参考になります。
SBI証券でこどもNISAを使う場合の確認項目
SBI証券の2026年10月1日の案内では、親権者の総合口座と子どもの総合口座を用意し、子どもの口座へログインしてこどもNISAを申し込む流れです。すでに口座がある場合は、その開設手順を省略します。
- 事前受付は2026年10月1日開始。口座開設は2027年1月から順次行う案内です。
- 本人確認書類等の提出が必要です。必要書類の組合せは既存口座の有無や申込方法で、実際の申込案内を確認します。
- 既存の未成年口座やジュニアNISA口座があるだけで、こどもNISAの申込みが自動で終わるわけではありません。
- ゼロカンには当初募集がなく、積立設定・買付はこどもNISAのサービス開始に合わせた予定です。具体的な受付操作日・締切は今後の案内で確認します。
- 成年者向けNISAへの移行後も保有分の信託報酬0%は継続する一方、新規購入・積立はできないという商品条件を確認します。
- SBI証券の案内では、こどもNISAの金融機関変更はできません。ゼロカンだけでなく、取扱商品・手続き・管理のしやすさも含めて口座を検討します。
制度の開始、口座の審査完了、商品を買える日は同一ではありません。確認先:SBI証券「こどもNISA」、ゼロカンの商品案内。本記事から口座開設や購入を急ぐ必要はありません。
2026年10月時点のキャンペーン(期間限定・条件あり)
SBI証券では、所定の期間内にこどもNISAの開設予約、クイズ全問正解とエントリー、口座開設完了の条件をすべて満たすと、こども口座へ現金2,000円を付与するキャンペーンを案内しています。手続きごとに期限が異なります。
- 開設予約:2026年10月1日~12月30日
- クイズ全問正解・こども口座でのエントリー:2026年10月1日~12月31日
- こどもNISAの開設完了:2027年1月4日~1月29日
対象はインターネットコース(プランC含む)の未成年の個人口座で、既存のこども口座でも条件を満たせば対象です。親権者口座からのエントリーは対象外です。付与時に口座を閉鎖している場合なども対象外となります。入金は2027年2月末頃の予定です。
Wチャンスは、上記条件の達成に加え、2026年10月1日~12月30日にこども口座で投資信託を合計5,000円以上買付注文し、その後約定することなどが条件で、抽選500名に500円~10万円を付与する案内です。注文取消し等は対象外です。特典を理由に予定外の購入を急ぐ必要はありません。内容は変更・中止・延長される場合があるため、最新の対象条件・除外条件はSBI証券の公式キャンペーン詳細で確認してください(2026年10月2日確認)。
ゼロカンを検討するときのチェックリスト
- 全世界株式中心の値動きを許容できるか。
- 教育費を使うまで何年あり、支払い時期を動かせるか。
- 近い教育費や生活防衛資金は、現金で確保できているか。
- SBI証券の口座条件・手続きで長く管理できるか。
- 信託報酬以外の費用と、公開される交付目論見書を確認したか。
- 新設ファンドで、長期の実運用実績がないことを理解しているか。
- こどもNISAの枠を全部使う前提になっていないか。
- 成年者向けNISAへの移行後の保有・新規購入の扱いを確認したか。
よくある質問
ゼロカンは本当に手数料0円?
公表された信託報酬は年率0.00%です。ただし、監査・売買・保管等のその他費用までゼロとは限りません。「完全無料」の商品とは表現できません。
こどもNISAならゼロカン一択?
一択とはいえません。利用する金融機関、教育資金の使用時期、投資対象への理解、運用実績などを含めて考えます。費用が低くても、近い支払いに使う資金の値下がりリスクは残ります。
オルカンとどちらがいい?
目標指数が同じでも、費用、運用履歴、取扱金融機関、口座条件が異なります。新商品の将来成績は比較できないため、今の信託報酬だけで将来の優劣を断定しません。
600万円の枠を全部使うべき?
上限を使い切る必要はありません。生活費、近い教育費、家計の余力を先に整理し、継続できる積立額を考えます。年間投資枠は60万円です。
教育資金を全部株式で運用していい?
必要時期に値下がりしている可能性があります。こどもNISAの運用部分と教育資金全体を分け、確実に支払う資金は現金等で確保できているかを確認します。
18歳になったらゼロカンはどうなる?
公表された案内では、保有分は成年者向けNISAへ移行し、信託報酬0%を継続します。移行後の新規購入・積立はできません。年齢判定や具体的な切替手続きは、実施時のSBI証券の案内で確認してください。
SBI証券以外でも買える?
2026年10月1日の発表では、SBI証券のみで取り扱う予定です。将来の販売会社や商品条件の変更は、運用会社・販売会社の公式案内を確認してください。
まとめ|0%だけでなく、教育資金全体で考える
ゼロカンの信託報酬0%は明確な特徴です。一方で、新設ファンドであること、その他費用、SBI証券での取扱い、成人後の購入制限など、確認すべき条件があります。
「どの商品を買うか」を決める前に、教育資金を使う年と、現金で確保する額を整理しましょう。こどもNISAの中をシンプルにすることと、家計全体で必要な安全性を確保することは両立させて考えられます。
参考資料・情報確認日
2026年10月1日に下記の一次資料を確認しました。10月2日にSBI証券の商品案内・公式発表・キャンペーン詳細を確認し、SBIオールカントリーとの違いと期間限定情報を追記しました。商品条件・サービス日程は変更される可能性があります。ゼロカンについては正式発表と商品概要を確認したもので、交付目論見書の最終条件、運用開始後の総費用・純資産・実績は今後の確認対象です。


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