「SBIオールカントリー」という新しい全世界株式ファンドが発表されました。名前が似た「オルカン」や「雪だるま」をすでに持っていると、これからの積立先を変えるべきか、保有分も買い直すべきか迷うかもしれません。
3商品は別のファンドです。また、今後の積立先を変える判断と、保有分を売却する判断は分けて考えられます。信託報酬の差だけで、すでに保有している商品を急いで売る必要はありません。
この記事では、成人が全世界株式ファンドを選ぶ場面に絞り、指数・運用方法・費用・運用実績の違いと、積立・保有を見直すときの確認事項を整理します。こどもNISA専用のゼロカンについては、こどもNISAとゼロカンの記事で別に説明しています。
情報確認日:2026年10月8日。SBIオールカントリーは発表済みですが、この日時点では当初申込期間・設定日前です。予定と運用開始後の実績を区別して記載しています。本記事は商品の仕組みを比較する情報提供であり、特定商品の購入・売却を推奨するものではありません。
まず整理|SBIオールカントリー・オルカン・雪だるまは別の商品
「全世界株式に投資する」という大きな方向は共通しています。しかし、正式名称だけでなく、連動を目指す指数や投資の仕組みも異なります。
| 比較項目 | SBIオールカントリー | オルカン | 雪だるま |
|---|---|---|---|
| 正式名称 | SBI・オールカントリー・インデックス・ファンド | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | SBI・全世界株式インデックス・ファンド |
| 運用会社 | SBIアセットマネジメント | 三菱UFJアセットマネジメント | SBIアセットマネジメント |
| 連動を目指す指数 | MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス | MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス | FTSE グローバル・オールキャップ・インデックス |
| 指数の主な対象 | 先進国・新興国の大型・中型株 | 先進国・新興国の大型・中型株 | 先進国・新興国の大型・中型・小型株 |
| 主な投資の仕組み | マザーファンドを通じ、指数構成銘柄の株式等へ投資 | 国内・先進国・新興国の3つのマザーファンドを通じ、株式等へ投資 | マザーファンドを通じ、複数の海外ETFへ投資 |
| 設定日 | 2026年11月17日予定 | 2018年10月31日 | 2017年12月6日 |
| 購入できる金融機関 | 2026年10月1日時点の公式案内ではSBI証券のみ。募集開始前 | 複数の販売会社で取扱い | 複数の販売会社で取扱い |
各ファンドの指数表記は「配当込み、円換算ベース」。SBIオールカントリーの欄は発表資料に基づきます。指数の対象範囲は指数提供元の説明によるもので、各ファンドが対象銘柄をすべて同じ割合で直接保有するという意味ではありません。出典:[1]〜[6]、[9]。
この記事で「オルカン」と呼ぶのは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)です。新しいSBIオールカントリーや、既存の雪だるまとは区別します。全世界株式の基本的な考え方は、オルカン・全世界株式の基礎も参考にしてください。
SBIオールカントリーはいつから買える?発表・募集・運用開始を分ける
SBI証券の公式発表では、SBIオールカントリーの予定は次のとおりです。[1][2]
| 段階 | 日付・期間 | 区別したいこと |
|---|---|---|
| 商品発表 | 2026年10月1日 | 発表された日であり、運用実績が生まれた日ではない |
| 当初申込期間 | 2026年10月19日〜11月16日予定 | 設定前の募集期間 |
| 設定・運用開始 | 2026年11月17日予定 | 通常の買付け・積立設定も同日からの案内 |
公式案内では、こどもNISA専用のゼロカンと異なり、SBIオールカントリーは一般の課税口座や成人のNISAを含む口座向けです。NISAのつみたて投資枠・成長投資枠の対象との案内がありますが、実際の購入時には最新の対象商品・取扱いを販売会社で確認してください。
「SBI証券のみ」という取扱先の説明も、公式ページが示す2026年10月1日時点の情報です。将来も販売会社が増えないと断定するものではありません。
同じ全世界株式でも、指数と運用方法に違いがある
MSCI ACWIとFTSEグローバル・オールキャップの違い
SBIオールカントリーとオルカンは、同じMSCI ACWI系の指数への連動を目指します。MSCIの説明では、先進国・新興国の大型株と中型株が対象です。一方、雪だるまが目指すFTSEグローバル・オールキャップには小型株も含まれます。[5][6]
そのため、3商品を「名前だけ違う同じ中身」とは扱えません。ただし、小型株を含む方が必ず高いリターンになるわけでもありません。対象範囲の違いとして確認する項目です。
株式等に投資する仕組みと、ETFを組み合わせる仕組み
SBIオールカントリーは、ゼロカンと共通の「SBI・オールカントリー・インデックス・マザーファンド」を通じて株式等に投資する設計です。オルカンは、国内・先進国・新興国に対応するマザーファンドを利用します。雪だるまは、マザーファンドを通じて海外ETFを組み合わせます。[1][3][4]
投資の仕組みが違うため、費用を読むときも、ファンド本体だけを見るのか、投資先ETFの費用まで含めるのかをそろえる必要があります。また、同じ指数を目指す2商品でも、費用や売買・運用上の差によって実際の成績が完全に一致するとは限りません。
信託報酬を比較するときは、費用の範囲をそろえる
| 商品 | 年率・税込 | 読み方 |
|---|---|---|
| SBIオールカントリー | 信託報酬 0.055% | 発表時の料率。運用開始後の総経費や実績はまだ評価できない |
| オルカン | 信託報酬 0.05775%以内 | 純資産総額に応じ、該当する部分の料率が段階的に下がる仕組み |
| 雪だるま | 実質的な負担 0.1022%程度 | 本体の信託報酬0.0682%+投資先ETFの報酬等0.034%程度 |
2026年10月8日に確認した公式資料に基づく数値です。雪だるまの投資先ETF費用は投資比率等によって変わり、0.1022%はすべての費用を含む確定値ではありません。各商品のその他費用・追加の報酬条件は最新の目論見書等で確認してください。出典:[1]〜[4]。
ここでいう信託報酬や実質的な負担と、運用報告書で確認する総経費率は同じではありません。売買委託手数料、監査費用、海外での保管費用などが生じる場合があり、総経費率にも含まれない費用があります。貸株を行う場合の追加報酬等も含め、料率の見出しだけで「投資にかかる全費用」と捉えないことが大切です。
例えば、SBIオールカントリーの0.055%と、オルカンの上限料率0.05775%の差は、年0.00275ポイントです。仮に評価額100万円が1年間変わらないと単純化すると、差は年27.5円です。これはその他費用、オルカンの段階料率、価格変動等を考慮しない概算で、実際の損益差や将来成績を示すものではありません。
費用は長く保有するほど確認したい項目ですが、この差だけで売却・買い直しの必要性が決まるわけではありません。
新設ファンドでは、まだ評価できないものがある
SBIオールカントリーについて、設計として発表されたことと、運用して初めて分かることを分けます。
| 確認項目 | 2026年10月8日時点の扱い |
|---|---|
| 指数・公表信託報酬・募集予定 | 公式発表で確認できる |
| 交付目論見書の最終条件 | 今回確認した公式発表・商品案内では確認できていない。購入前に現行の交付目論見書を確認する |
| 純資産総額・資金流入の推移 | 設定前のため、運用中ファンドとしての推移は評価できない |
| 指数との乖離・運用実績 | 運用開始前のため評価できない |
| 実績に基づく総経費率 | 運用報告書等が出るまで比較できない |
オルカンと雪だるまには運用実績があり、目論見書や運用報告書を確認できます。ただし、過去の成績が将来も続く保証はありません。総経費率を比べる際も、計算対象期間や含まれる費用をそろえる必要があります。
新商品を候補に入れることと、運用開始後の資料を待って判断することは、どちらも選択肢です。「新しいから有利」「実績がないから不適切」と一律に決める必要はありません。
「これからの積立先」と「いま持っている商品」を分けて考える
見直す対象を2つに分けると、不要な売却を前提にせずに整理できます。
| 判断 | 何が変わるか | 先に確認すること |
|---|---|---|
| 今後の積立先を変える | これから拠出するお金の投資先が変わる。既存分を売却する必要はない | 商品・指数・費用、取扱先、積立設定の締切、翌回の買付け、NISAの残り枠 |
| 保有分を売却して買い直す | 既存資産を換金し、別商品を新たに買う | 課税口座の売却益、NISAの年間投資枠・非課税保有限度額、受渡し、価格変動、売買条件 |
積立先だけ変更し、保有分はそのままにする方法もある
例えば、今まで積み立てたオルカンや雪だるまを保有したまま、今後の積立先だけを別の商品にする方法があります。もちろん、同じ商品で積立を続ける判断もできます。
ただし、全世界株式ファンドを複数持っても、投資対象の重なりは大きくなります。商品数を増やすこと自体を、株式と預貯金・債券の配分を変えるような分散と同じには考えません。全体の投資額やリスクの取り方は、NISA投信を選ぶときの判断軸と合わせて整理してください。
保有分の買い直しは、費用差以外も確認する
投資信託の買付け・換金は、注文時に最終的な基準価額が分からない場合が一般的です。売却代金を使って買い直す場合には、換金代金の受渡しまでの日数も考慮します。その間の価格変動によって、同じ金額で買える口数も変わります。
オルカンと雪だるまの現行目論見書では購入時手数料・信託財産留保額はありませんが、売却による課税や市場から離れる期間までなくなるわけではありません。新しいSBIオールカントリーの購入・換金条件は、取扱開始時の資料で確認してください。[3][4]
売却前に確認したい税金とNISA枠
課税口座では、売却代金ではなく利益に課税される
個人が課税口座で公募株式投資信託を売却して利益が出た場合、原則としてその利益に所得税・住民税等がかかります。2026年の税率は復興特別所得税を含め原則20.315%です。税金の対象は売却代金全額ではなく、取得費や手数料等を差し引いた譲渡益です。損益通算等によって最終的な税額が変わる場合があります。[8]
含み益がある商品では、「毎年の費用をどれだけ減らせるか」だけでなく、「今売却するとどの程度の税負担が生じ、再投資できる金額がどう変わるか」も別に確認します。税の基本は、NISA・株・投資信託の税金で整理しています。
NISAは売却しても、その年の年間投資枠が戻るわけではない
2024年以降のNISAでは、商品を売却すると、売却した商品の取得金額(簿価)相当分を、翌年以降に非課税保有限度額として再利用できます。売却代金や時価を基準にする仕組みではありません。年間投資枠とは別に考えます。[7]
例えば、取得金額100万円の商品を120万円で売却した場合、翌年以降に再利用できる非課税保有限度額は100万円分です。その売却によって、当年の年間投資枠が100万円や120万円増えるわけではありません。別の商品を120万円で買うなら、新たな買付けとして120万円分の利用可能な枠が必要です。
上記は枠の仕組みを説明する架空例です。2024年以降のNISAを前提とし、売買手数料・価格変動等は考慮していません。再利用できる年も、つみたて投資枠・成長投資枠それぞれの年間上限の範囲で買い付けます。
具体的な整理は、NISAで売却した後の枠はいつ戻るかを確認してください。購入先の金融機関が異なる場合は、商品変更だけでなくNISA口座の利用先の手続きも確認が必要です。
どの商品にするか迷ったときの確認順
- 使う時期と金額を確認する。近く使うお金まで全世界株式へ回す前提にしない。
- 投資対象を確認する。大型・中型株を中心とする指数か、小型株も含める指数かを区別する。
- 費用の範囲をそろえる。信託報酬だけでなく、投資先ETFの費用や運用報告書の対象期間を見る。
- 使う金融機関での取扱いを確認する。NISA対象、積立設定、最低購入金額等は実際のサービス画面・資料で確認する。
- 新設ファンドの未確認事項を分ける。現時点の設計と、運用後に評価する実績を混同しない。
- 積立先の変更と売却を別々に決める。保有分まで買い直す理由があるか、税金とNISA枠を含めて確認する。
この順で考えると、結論は「現状維持」「今後の積立だけ見直す」「運用開始後の資料を待つ」などに分かれます。費用の安さだけで1商品に決める必要はありません。
よくある質問
SBIオールカントリーは雪だるまの名前が変わったもの?
いいえ、別のファンドです。正式名称、連動を目指す指数、運用の仕組み、設定日が異なります。購入画面では愛称だけでなく正式名称も確認してください。
SBIオールカントリーとオルカンは、同じ成績になる?
同じMSCI ACWI系の指数への連動を目指しますが、ファンドの成績が完全に一致する保証はありません。費用や運用上の差があり、新しいSBIオールカントリーの実績は運用開始後に確認する項目です。
信託報酬が低いなら、保有分もすぐ乗り換えた方がよい?
信託報酬差だけでは判断できません。課税口座の売却益、NISAの利用可能枠、売却から再購入までの価格変動、管理の手間も含めて考えます。積立先だけを変更し、保有分を残す方法もあります。
ゼロカンも、この3商品と同じ条件で選べる?
ゼロカンは、SBI証券のこどもNISA専用として発表された別の商品です。成人が利用する口座の比較へ、そのまま並べて選べる商品として扱いません。
まとめ|新しい積立と、保有資産の売却は別の判断
SBIオールカントリーとオルカンはMSCI ACWI系、雪だるまは小型株も含むFTSEグローバル・オールキャップへの連動を目指します。投資の仕組みと費用の範囲も同一ではありません。
2026年10月8日時点で、新しいSBIオールカントリーは募集・運用開始前です。公表された料率は比較できますが、運用実績や実績に基づく総経費はまだ判断できません。
まずはこれからの積立をどうするか、そのうえで保有分を売る必要があるか。この2つを分け、税金・NISA枠・手続きまで含めて判断材料を整理しましょう。
参考資料
確認日:2026年10月8日。商品の条件は更新されることがあります。購入時には最新の交付目論見書、販売会社の取扱い・NISA対象等を確認してください。
- SBI証券:SBIオールカントリー・ゼロカンに関する2026年10月1日の公式発表
- SBI証券:SBIオールカントリー・ゼロカンの商品案内
- 三菱UFJアセットマネジメント:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)交付目論見書(2026年7月25日使用開始、PDF)/最新の商品情報・資料
- SBIアセットマネジメント:SBI・全世界株式インデックス・ファンド 交付目論見書(2026年8月13日、PDF)/最新の目論見書・運用報告書等
- MSCI:MSCI ACWI Index
- FTSE Russell:FTSE Global Equity Index Series
- 金融庁:NISAを知る
- 国税庁:No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)
- SBIアセットマネジメント:SBI・全世界株式インデックス・ファンド 販売会社一覧


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