NISA・株・投資信託の税金|特定口座・損益通算・配当・確定申告を解説

NISA・株・投資信託の税金:損失・配当・申告を確認 お金の教科書

NISAで投資していても、課税口座を併用していたり、国内株の配当を銀行口座で受け取っていたりすると、税金の確認が必要になることがあります。

判断の順番は、①どの口座か、②売却益・売却損・配当のどれか、③申告で通算したい損失があるかです。証券会社ごとの取引報告書や配当の受取設定を見ながら読むと、自分に関係する項目を整理できます。

この記事は、日本の居住者である個人の、国内上場株式と国内公募株式投資信託を中心に説明します。大口株主等、非上場株、外国税の取扱いなどは別途確認が必要です。制度説明は一般的な情報であり、個別の税額や申告方法を判断するものではありません。

情報確認日:2026年9月11日。国税庁の令和8年4月1日現在の法令等に基づく資料を中心に確認しています。

NISA・株・投資信託にはどんな税金がかかる?

まず、NISAと課税口座を分けます。特定口座は課税口座の一種で、「源泉徴収あり」か「なし」かによって申告の手間が変わります。

口座の区分税金・申告の基本
NISA対象商品の売却益と、要件を満たす配当・分配金は非課税。口座内の売却損は通算・繰越不可
特定口座・源泉徴収あり(課税口座)金融機関が損益計算と源泉徴収を行う。対象所得は申告不要を選べるが、他口座との通算等には申告が必要
特定口座・源泉徴収なし/一般口座(課税口座)課税対象の利益について申告要否を自分で確認。特定口座は年間取引報告書を利用でき、一般口座は自分で損益を整理する

2026年の上場株式等の譲渡益にかかる税率は、原則として20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)です。対象となる配当等も、源泉徴収や申告分離課税ではこの税率が基本です。配当を総合課税で申告する場合は計算が異なります。

売却代金そのものに20.315%がかかるわけではありません。譲渡益は、売却代金から取得費や委託手数料等を差し引いて計算します。保有中の値上がり・値下がりと、実際に売却して確定した損益も分けてください。

根拠:国税庁「株式等を譲渡したときの課税」「配当金を受け取ったとき」。税率の内訳は2026年分の説明です。

NISAなら何が非課税になる?

2024年からのNISAでは、つみたて投資枠・成長投資枠の対象商品をNISA口座で保有することで、売却益や一定の配当・分配金が日本の所得税・住民税の非課税対象になります。つみたて投資枠は一定の投資信託等、成長投資枠は一定の上場株式・投資信託等が対象です。

ここで大切なのは、NISA口座を開設しただけでは、課税口座の保有商品まで非課税にならないことです。同じ投資信託でも、特定口座で買った分とNISAで買った分は区別します。

国内株の配当には受取方法の条件があります。また、NISAは日本の税の制度なので、外国税まで一律に非課税と考えないでください。この記事では外国株・外国税額控除の詳細は扱いません。

制度の枠や対象商品は国税庁「NISA制度」を参照しています。年間投資枠や非課税保有限度額の詳しい説明は、NISAの基本記事にまとめています。

NISAで損失が出た場合の注意点

NISAの売却損は、課税口座の利益や配当と損益通算できず、翌年以降へ繰り越すこともできません。 税務上、その損失はなかったものとして扱われます。

例えば「特定口座に利益があるので、NISAの含み損を売却して税金を減らす」という使い方はできません。課税口座で申告する損失と、NISAで出た損失を、取引履歴上でも分けて整理します。

利益が非課税になる利点はありますが、損失の税務上の扱いも異なります。NISAならどんな商品・売買でも必ず課税口座より有利、と単純には判断できません。投資する目的や資金を使う時期も合わせて考える必要があります。

根拠:国税庁「NISA制度」。なお、「売却後に投資枠を再利用できること」と「損失を税金の計算に使えること」は別の話です。枠の復活については売却後のNISA非課税枠で確認できます。

特定口座(源泉徴収あり)なら確定申告は必要?

特定口座は、金融機関が年間の譲渡損益を計算し、年間取引報告書を作成する仕組みです。源泉徴収ありを選ぶと対象の利益から税金が徴収され、その口座の譲渡所得を申告不要とすることができます。

この申告不要制度は、会社員の「20万円ルール」とは別です。源泉徴収ありの特定口座の利益が20万円を超えたことだけで、全員に確定申告が必要になるわけではありません。 医療費控除などで申告する場合も、対象となる源泉徴収口座の所得は申告不要を選べます。

源泉徴収なしの特定口座や一般口座では、その利益を自分の他の所得や申告条件と合わせて確認します。会社員の20万円基準は、給与・年末調整等の条件があるため、「株の利益20万円以下なら何もしなくてよい」とは扱えません。詳しくは後述の会社員向けガイドへ進んでください。

同じ口座の配当と損失は自動で調整される場合がある

源泉徴収ありの特定口座に、対象となる配当等を受け入れる設定をしていれば、同じ口座内の譲渡損失との通算は金融機関で行われます。配当を受け取っているからといって、必ずこの設定になっているとは限りません。

確認するのは、年間取引報告書の譲渡損益と配当等の欄、証券会社の「配当等の受入れ」に関する設定です。他の証券会社との損益は、この口座内の処理だけでは合算されません。

損失だけ申告する前に確認: 源泉徴収口座の譲渡損失を申告する場合、その口座に受け入れた配当等も一緒に申告する必要があります。損失だけを選び、同じ口座の配当を申告不要にすることはできません。

根拠:国税庁「特定口座制度」

株で損失が出たら損益通算できる?

課税口座で生じた上場株式等の譲渡損失でも、何とでも相殺できるわけではありません。証券会社を通じた売却など、制度の対象となる取引で確定した損失を前提に整理します。

相手となる所得損失を差し引けるか
他の上場株式等の譲渡益同じ区分の譲渡損益として合算可能。他の源泉徴収口座との相殺には確定申告が必要
一定の上場株式等の配当等申告分離課税を選ぶなどの要件を満たせば損益通算可能。同一の源泉徴収口座内の処理は前節参照
給与所得・副業の雑所得など通常、上場株式等の譲渡損失を差し引くことはできない
一般株式等(非上場株など)の譲渡益原則として上場株式等とは別区分で、相互に通算できない

公募株式投資信託の売却・解約等の損益も、対象となる「上場株式等」の区分に含まれます。「株という名前の商品だけが対象」とは限りません。一方、NISAの損失や、対象外の相対取引の損失はこの特例に使えません。

根拠:国税庁「株式等の譲渡損失(赤字)の取扱い」「株式等を譲渡したときの課税」

損失は3年間繰り越せる場合がある

対象となる上場株式等の譲渡損失で、その年の通算後も控除しきれない分は、翌年以後3年間の上場株式等の譲渡益や、一定の配当等から繰越控除できる場合があります。

2026年分に残った対象損失なら、制度上の繰越先は2027年分・2028年分・2029年分です。3年後にまとめて申告する仕組みではありません。

  • 損失が生じた年分に、必要な付表・計算明細書を添えた確定申告をする
  • その後も、繰越に必要な付表を添えて連続して確定申告する
  • 売買しなかった年も、翌年へ損失を繰り越すための申告が必要
  • 控除を使う年は、その年の損益と繰越残高を申告書・明細で確認する

前年の申告書控えと繰越額を保存し、今年の年間取引報告書と一緒に確認すると、申告の抜けを防ぎやすくなります。申告を忘れた場合の適用可否は、自己判断で補わず税務署等へ確認してください。

根拠:国税庁「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」

配当金の税金:3つの扱いを分ける

課税口座の国内上場株式の配当は、大口株主等を除く一般的な個人投資家の場合、次の違いを確認します。どの方法が有利かは、他の所得や控除、損失の有無によって変わります。

方法主な違い
申告不要源泉徴収で課税を終える。配当控除を使うための申告や、申告による損失との通算はしない
総合課税給与などの所得と合算して税額を計算。対象となる国内株配当では配当控除を使えるが、上場株式等の譲渡損失との通算はできない
申告分離課税他の所得と分け、原則20.315%で計算。対象損失との通算・繰越控除を利用できるが、配当控除は使えない

申告する対象配当については、総合課税か申告分離課税かを統一して選びます。申告した方法・申告不要の選択は、後から修正申告や更正の請求で自由に変更できるものではありません。

また、申告した所得が扶養控除等の所得判定に影響する場合があります。単純に「源泉徴収された税金が戻るか」だけで決めないでください。根拠:国税庁「上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」

住民税・国民健康保険への影響も確認する

上場株式等の対象所得について、2024年度の住民税(2023年分の所得税)以後は、所得税と住民税で異なる課税方式を選べません。「所得税では申告し、住民税では申告不要にする」という以前の説明は、現在の判断にそのまま使えません。

国民健康保険の加入者は、申告によって対象所得が保険料・保険税の算定に含まれ、還付等より負担増が大きくなる場合があります。会社の健康保険とは制度を分け、加入制度と自治体で確認してください。根拠:須賀川市「上場株式等に係る配当所得等の課税方式と国民健康保険税」(2026年3月31日更新)。

NISAでも国内株の配当金が課税されることがある

NISAで保有する国内上場株式の配当を非課税で受け取るには、証券会社の取引口座で受け取る株式数比例配分方式を選ぶ必要があります。国内上場ETF・REITの分配金も、この受取方法の確認が必要です。

指定した銀行口座や配当金領収証で受け取る方式では、NISAで保有する株でも配当が課税されます。株をNISAで保有している表示だけでなく、証券会社の「配当金受取方法」を確認してください。変更の受付期限や利用条件は証券会社に確認します。

投資信託と混同しない: 一般的な非上場の公募株式投資信託の分配金は、国内株配当のように株式数比例配分方式を選ぶ手続きをしなくても、NISAで要件を満たせば非課税です。「投資信託も全て同じ受取設定が必要」とは説明できません。

受取方法によって課税された国内株配当を、確定申告でNISAの非課税に戻すことはできません。ただし、課税された配当として、申告分離課税による対象損失との通算等を検討できる場合はあります。

根拠:国税庁「NISA制度」日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」Q18~21

投資信託の税金:売却益・普通分配金・元本払戻金

ここでは国内公募株式投資信託を中心に、受け取るお金の性質を分けます。公社債投資信託などには異なる取扱いがあるため、商品名だけでなく目論見書の税務欄も確認してください。

お金の種類課税口座とNISAの違い
売却・解約等で確定した利益課税口座は原則20.315%。NISAの対象取引は非課税
普通分配金課税口座では原則20.315%で源泉徴収され、申告方法で扱いが変わる。NISAの対象分は非課税
元本払戻金(特別分配金)投資した元本の一部が戻るもの。課税口座でも課税対象外で、NISA固有の節税効果ではない

普通分配金と元本払戻金の内訳は、投資家ごとの個別元本と分配後の基準価額との関係で決まります。同じ商品の同じ分配でも、購入状況によって内訳が異なります。

元本払戻金を受け取ると、その金額分だけ個別元本が引き下げられます。「税金がかからない分配金が出たから、その分だけ運用で得をした」とは限りません。分配金の通知で、普通分配金・元本払戻金の内訳と個別元本を確認しましょう。

税率・所得区分の根拠:国税庁「配当金を受け取ったとき」「株式等を譲渡したときの課税」。元本の扱いは資産運用業協会「元本払戻金(特別分配金)」で補足確認しています。商品自体の仕組みや費用は、投資信託の基本記事を参照してください。

具体例:課税口座とNISAで損失が出たら?

次は説明用の仮定です。同じ人が同じ年に、国内の証券会社を通じて対象となる上場株式を売却し、取得費・手数料を反映した後の損益が次のとおりだったとします。配当や過去年分の繰越損失、ほかの取引はない前提です。

口座確定した譲渡損益
証券会社Aの課税口座利益30万円
証券会社Bの課税口座損失20万円
NISA口座損失10万円

A・Bの対象取引を申告で合算する場合、30万円-20万円=10万円が、この例で残る課税口座の譲渡益です。NISAの損失10万円は差し引けないので、0円にはなりません。

A・Bがそれぞれ源泉徴収ありの特定口座でも、証券会社をまたぐ相殺は自動ではありません。必要な申告と、その申告が他の制度に与える影響を合わせて確認します。ここで示したのは損益の範囲であり、実際の納付・還付額を保証する計算例ではありません。

根拠:国税庁「特定口座制度」「株式等の譲渡損失の取扱い」

こんなときは確定申告を確認

次の項目は「当てはまれば全員に申告義務がある」という意味ではありません。申告が必要なケースと、通算・控除のために申告を検討するケースを分けて確認するための一覧です。

  • □ 複数の証券会社に利益・損失があり、口座をまたいで相殺したい
  • □ 対象となる譲渡損失を、上場株式等の配当等と損益通算したい
  • □ 今年の損失を翌年以降へ繰り越したい、または前年からの繰越損失がある
  • □ 源泉徴収なしの特定口座や一般口座に利益がある
  • □ 配当を総合課税・申告分離課税で申告するか比較したい
  • □ 申告により扶養等の所得判定や、加入する国民健康保険への影響がないか確認したい

最初にそろえるのは、各社の年間取引報告書、一般口座の取得・売却記録、配当や分配金の通知、前年の申告書控え・繰越残高です。NISAの取引は課税口座と混ぜず、会社ごと・口座ごとに区別してください。

副業の20万円ルール、医療費控除、ふるさと納税、住民税申告も関係する会社員は、会社員でも確定申告が必要?副業・医療費控除・ふるさと納税・株の判断ガイドで、その年の手続きをまとめて確認できます。投資の損失申告をする場合も、ほかの所得・控除を含めた確認が必要です。

NISA・投資の税金でよくある誤解

誤解しやすいこと確認するポイント
NISAなら全ての配当が自動的に非課税国内株等では受取方法を確認。普通の非上場投資信託とは手続きが異なる
NISAで損したら他口座の利益と相殺できるNISAの売却損は損益通算・繰越控除に使えない
特定口座なら申告できない・不要が確定する源泉徴収の有無を確認。他社との通算や繰越等を利用するなら申告を検討
株の損失は給与所得から引ける通常、対象の上場株式等の利益・配当等の範囲で考える
株の利益が20万円超なら全員が申告する源泉徴収ありの特定口座の申告不要制度など、口座と所得の条件を確認

まとめ

NISAは対象の利益が非課税になる一方、売却損は損益通算・繰越控除に使えません。課税口座では、対象損失を通算したり、申告を継続して翌年以後3年間へ繰り越したりできる場合があります。

判断に迷ったら、口座区分、確定した損益、配当の受取方法、過去の繰越残高の順に確認しましょう。申告不要を選べる口座でも、申告のメリットと他の負担への影響を一緒に確認することが大切です。

税金の仕組みを確認したうえで、投資に回す金額や使う時期を整理したい場合は資産形成の基本へ。金融機関の取扱商品やサービスを比較したい場合は証券会社の比較記事が別の入口になります。

個別の申告要否や申告方法に迷う場合は、取引報告書等を手元に用意し、税務署・自治体・税理士などの窓口へ確認してください。

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