OTC類似薬の自己負担はどう変わる?2027年3月からの対象薬・対象外・確認すること

病院や薬局で受け取る薬について、「市販薬に似た薬は負担が増える」と聞き、いつから、どの薬が変わるのか気になっている方もいると思います。

2027年3月1日から、一部の「OTC類似薬」を保険診療で使用するときに、薬剤費の4分の1に当たる特別の料金を支払う仕組みが始まります。ただし、子どもへの処方や、治療内容・継続使用の条件などによって、この料金の対象外となる場合があります。[1,2]

この記事では、2026年9月30日に示された厚生労働省の通知をもとに、対象薬の確認方法、追加の負担がかからない条件、費用の考え方を整理します。

情報確認日:2026年10月13日

※制度の一般的な説明です。個別の薬の使用や変更、特別の料金の対象になるかは、診療内容を踏まえて医療機関・薬局で確認してください。施行前の情報であり、今後の通知等によって取扱いが補足される可能性があります。

2027年3月から変わること

今回の制度は「一部保険外療養」と呼ばれます。対象の医療用医薬品について、薬剤費の4分の1に当たる部分を特別の料金として分け、残る保険対象の費用について通常の自己負担を支払う仕組みです。[2,3]

薬代全体が保険から外れる制度ではありません。また、対象の薬を使う場合も、症状に応じて必要な受診を続けられます。[1]

まず押さえたいのは、次の3点です。

  • 施行日は2027年3月1日。2026年10月時点では、まだ始まっていません。
  • 薬の名前だけでなく、処方の目的や患者の状況によって特別の料金の有無が変わります。
  • 特別の料金への消費税の取扱いは、2026年9月30日の通知では未確定です。

関連する政省令・告示の公布と具体的な運用通知は2026年9月30日です。「制度の詳細が示された日」と「負担が変わる日」を分けて確認しましょう。[2,3]

OTC類似薬の対象はどのように決まるか

OTC医薬品は、薬局やドラッグストアなどで処方箋なしに購入できる医薬品です。今回の対象は、OTC医薬品と有効成分と投与経路が同じで、1日の最大用量も異ならない医療用医薬品です。[1,2]

厚生労働省の概要資料では、77成分・1,042品目が示されています。抗アレルギー薬、鎮痛消炎薬、去痰薬、便秘薬、皮膚の保湿に使う薬などが含まれます。[4]

ただし、「花粉症の薬だから全部対象」「同じ成分なら、どの規格・使い方でも同じ扱い」とは判断できません。実際の薬の商品名・規格を、厚生労働省の対象医薬品リストで確認します。対象薬の一覧は原則として毎年4月1日に更新する方針で、事前公表は毎年3月頃の予定です。[2]

今使っている薬が気になる場合は、お薬手帳や薬の説明書を用意し、医療機関・薬局で確認するとよいでしょう。[1,2]

対象品目や、対象外となる効能・効果の一覧は、厚生労働省の制度案内に掲載されています。

特別の料金がかからない9つの場合

厚生労働省は、必要な医療を確保するため、次の9つの場合を特別の料金の対象外としています。該当するかは、処方時に医療機関・処方医が判断します。[1,2]

ここでいう「対象外」は、今回追加される特別の料金についての扱いであり、診療費や薬代全体が無料になるという意味ではありません。

  1. 子どもへの処方:18歳に達する日以後の最初の3月31日までの人が対象です。年齢条件は処方時に判断します。
  2. がん治療に関係する処方:がんの治療中に、がんそのもの、または治療に関連して生じた状態に対して対象薬を使う場合です。
  3. 指定難病などに関係する処方:指定難病、または18歳から20歳までの小児慢性特定疾病と、それらに関連する状態に対して使う場合です。所定の書類による確認が必要です。
  4. 国の公費負担医療での使用:対象となる公費負担医療の範囲で、その薬を処方・調剤する場合です。
  5. 入院時の処方:退院時に出る薬も含みます。ただし、入院中に別の医療機関を受診して受ける処方は、この条件には含まれません。
  6. 侵襲を伴う検査・処置・手術に伴う処方:外来で行う該当の医療行為が主な原因となって生じた症状に対し、その実施後、同じ日に新たに処方される14日以内分など、通知の条件を満たす場合です。
  7. 年間を通じた長期使用が医療上必要な場合:医師が症状の持続と治療の継続性を確認し、内服薬・外用薬それぞれの条件を満たす場合です。
  8. 類似のOTC医薬品では対応できない効能・効果で使う場合:厚生労働省の対応リストに示された治療目的で処方される場合です。
  9. 妊娠中・妊娠の可能性がある・授乳中で、特定の対象薬を使う場合:類似のOTC医薬品の添付文書に、その状態では服用しないこと等と記載されている薬が対象です。対象となる薬は別に一覧が示されています。

病名や助成の有無だけでは決まらない

がんや指定難病があっても、その治療と関係のない症状に使う薬まで一律に対象外になるわけではありません。がんについては、過去の診断歴だけでなく、治療中であることや今回の処方との関係も確認されます。[2]

また、「国の公費負担医療」には、自治体が独自に行う医療費助成は含まれません。公費の受給者でも、その公費が助成する範囲外の症状への処方では、この条件による対象外にはなりません。他の対象外条件に当てはまるかも含めて確認します。[2]

指定難病などの確認には、医療受給者証や登録者証等を使います。指定難病については、2028年3月31日まで、一定の別の書類でも確認できる経過措置があります。受給者証がない場合も、自分で対象外と決めず、必要な書類を医療機関へ確認してください。[2]

手術後の薬や妊娠中の薬にも条件がある

検査・処置・手術に伴う処方では、「その後2週間以内にもらった薬ならすべて対象外」という扱いではありません。同日処方か、何の症状に対する薬か、処方日数などが関係します。15日分以上の処方や後日の追加処方は、この条件による対象外にはなりません。[2]

妊娠中・授乳中の扱いも、すべての対象薬に共通する免除ではありません。妊娠中・妊娠の可能性がある場合と、授乳中の場合では対象薬が異なるため、該当する一覧と本人の状況を確認します。特別の料金の対象外になることと、その薬を安全に使えるかどうかの判断は別なので、使用の可否は医師・薬剤師へ相談してください。[1,2,5]

長く使っている薬はお薬手帳で経過を確認する

長期使用の条件は、「以前から処方されている」というだけでは満たしません。年間を通じた症状の持続と治療の必要性に加えて、使用実績等の確認が必要です。[2]

内服薬は年間を通じた継続使用が基本

内服薬では、年間処方日数がおおむね50週となる継続使用が基準です。ただし、必ず1年分の実績がそろうまで待つという意味ではありません。少なくとも半年間の使用継続が確認でき、直近の実績を含め、おおむね50週の継続が医療上必要と医師が認める場合も対象外と判断できます。[2]

半年たてば自動的に対象外になるわけではなく、その先も通年で使う必要性が確認されます。症状があるときだけ使う頓服薬や、毎年の花粉症シーズンだけ使う薬は、繰り返し処方されていても、それだけではこの長期使用の条件に当てはまりません。[2]

施行前の使用歴や、別の医療機関での治療歴も確認に使えます。転院した場合も、以前のお薬手帳や診療情報を持参しましょう。一方、この制度の継続使用実績は医療用医薬品の使用歴で判断し、市販薬を自分で使用した期間は含めません。[2]

外用薬は病気と使い方にも条件がある

外用薬は、年間を通じて処方されていても、対象となる病気や治療方法が限られます。通知では、次のような場合が示されています。[2]

  • 通年性のアレルギー性結膜炎などに対し、医師の指示で点眼薬を毎日使い、通年の継続使用実績がある場合
  • アトピー性皮膚炎の治療で、ヘパリン類似物質や尿素を医師の指示で毎日使い、通年の継続使用実績がある場合
  • 再燃を繰り返すアトピー性皮膚炎に対し、ステロイド外用薬によるプロアクティブ療法を医師の指示で続け、通年の継続使用実績がある場合

プロアクティブ療法など、自分の治療がどの条件に当たるかは主治医に確認してください。外用薬も、半年間の使用継続と今後の通年使用の必要性を踏まえて判断できる取扱いがあります。[2]

さらに、2029年3月31日までの経過措置として、次の2つの場合も特別の料金の対象外とされています。[2]

  • 鎮痛消炎外用薬:慢性かつ重度の疾患に対し、医師が年間を通じた疼痛管理として使用し、通年の継続使用実績がある場合です。
  • 皮膚保湿剤・皮膚保護剤・角化症治療剤:症状が十分に改善せず、直近1年以内に免疫抑制剤・経口JAK阻害薬・生物学的製剤のいずれかによる全身療法を併用した治療歴があり、医師の指示による毎日の通年使用実績がある場合です。

「湿布を長く使っている」「保湿剤を毎月もらっている」だけでは判断できないため、主治医に確認してください。

同じ成分でも処方の目的によって扱いが変わる

厚生労働省は、フェキソフェナジン塩酸塩を例に挙げています。この成分のOTC医薬品は鼻のアレルギー症状の緩和に使いますが、医療用医薬品には蕁麻疹や皮膚疾患に伴うかゆみなどの効能もあります。[1,2]

医療用のフェキソフェナジン塩酸塩を、OTC側では認められていないこれらの効能を目的として処方する場合は、特別の料金の対象外とされています。[1,2]

一方、アトピー性皮膚炎に伴う乾燥等へのヘパリン類似物質は、効能・効果の違いだけで一律に対象外になる扱いではありません。先ほどの長期使用など、該当する条件を確認します。[2]

なお、厚生労働省が示す対応リストのうち、傷病名の一覧は参考例です。病名が一覧にない場合も、類似のOTC医薬品の効能・効果では対応できない状態に使うのであれば、特別の料金の対象外となる取扱いがあります。[5]

薬の成分名の検索だけで結論を出さず、「何の治療のために使っているか」を医師・薬剤師と確認することが大切です。

負担額は特別の料金と保険内の自己負担に分けて考える

費用は、次の2つを合計します。[3]

  1. 対象薬の薬価の4分の1をもとに計算する特別の料金
  2. 残る保険対象の費用に、本人の自己負担割合を掛けた金額

従来の自己負担額に、薬価の25%をそのまま足す計算ではありません。実際には、規格単位ごとの価格の端数処理や、薬剤料の点数への換算も行います。[3]

厚生労働省が示した内服薬の計算例

通知には、薬価が1錠16.50円の内服薬を、1回1錠・1日2回・30日分使い、保険内の自己負担割合が3割の場合の例が掲載されています。薬の名前を伏せた制度説明用の例です。[3]

この例では、1錠16.50円の4分の1である4.125円を、小数第3位で四捨五入して4.13円とします。保険対象分の計算に使う価格は、16.50円から4.13円を引いた12.37円です。実際の計算には、厚生労働省の対象医薬品リストに示された価格を使います。[3]

内訳通知の計算例
特別の料金4.13円 × 60錠 = 247.8円 → 端数処理後250円
保険対象の薬剤料1錠当たり12.37円 × 1日2錠 = 24.74円を2点に換算。30日分で60点、600円
保険内の自己負担600円 × 3割 = 180円
この薬についての患者負担250円 + 180円 = 430円

ここで示した430円は、この薬についての説明用の金額です。診察料や調剤基本料などは含まれていません。また、特別の料金への消費税の取扱いを反映した確定額でもありません。[3]

2026年9月30日の計算通知では、消費税の取扱いは税制改正の議論を踏まえ、2026年末をめどに示すとされています。現時点で「税込みで必ずこの金額」と決めつけず、施行前の追加案内を確認する必要があります。[3]

先発医薬品を希望する場合の特別料金との違い

後発医薬品がある一部の先発医薬品について、患者が希望して選んだ場合などに特別の料金が生じる「長期収載品の選定療養」もあります。こちらは先発医薬品と後発医薬品の価格差をもとにする制度で、今回のOTC類似薬の仕組みとは対象や計算が異なります。[2,3]

同じ1つの薬に対して、OTC類似薬の特別の料金と、長期収載品の特別の料金が重複してかかることはありません。ただし、OTC類似薬の料金が対象外でも、患者の選択等により長期収載品の料金がかかる場合はあります。また、1枚の処方箋に別々の対象薬が含まれると、2つの制度による料金がそれぞれ生じる場合があります。[2,3]

領収書の「特別の料金」を確認するときは、どちらの制度に基づくものかも確認しましょう。

受診や薬の変更を考える前に確認したいこと

費用が気になったときは、薬を自分で中止したり、市販薬へ切り替えたりする前に、次の点を確認してください。

  • 今使っている薬の商品名・規格は、対象医薬品の一覧に含まれるか
  • 何の症状・病気の治療のために処方されているか
  • 年齢、治療内容、使用歴などから、特別の料金の対象外となる条件はあるか
  • 確認に必要なお薬手帳、受給者証・登録者証などはそろっているか
  • 実際の支払いには、薬の費用以外に何が含まれるか

OTC医薬品には、使える症状、年齢、使用期間、併用できない薬などの条件があります。成分が同じでも、自分の治療をそのまま置き換えられるとは限りません。費用の相談とあわせて、適切な受診や薬の使い方を医師・薬剤師に確認しましょう。

医療費全体が大きくなった場合の限度額や申請は、高額療養費制度の使い方で整理しています。家族の領収書や保険金を含めた申告準備は、医療費控除の基本を参照してください。医療費控除の記事にある「特別の料金」は、長期収載品の制度についての説明です。今回のOTC類似薬の税務上の取扱いは、別途の公式案内を確認する必要があります。

まとめ

OTC類似薬の新しい負担は、2027年3月1日から始まります。対象薬を使う場合は原則として薬剤費の4分の1に当たる特別の料金が生じますが、子どもへの処方、治療の目的、長期使用などによる対象外の条件があります。

まずは、今の薬の名前と使う目的、これまでの使用歴を確認しましょう。負担額は保険内の自己負担と特別の料金に分けて考え、消費税などの追加案内も確認しておくと整理しやすくなります。

受診や薬の変更は、費用だけで決めず、必要な治療を続けることを前提に医師・薬剤師へ相談してください。

参考資料

[1] 厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しについて(OTC類似薬の一部保険外療養)」:制度案内、対象外となる場合、対象医薬品リストへの入口。ページ更新日2026年9月30日。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index_00001.html

[2] 厚生労働省「要指導医薬品又は一般用医薬品との代替性が特に高い医療用医薬品の処方又は調剤に係る一部保険外療養について」保医発0930第6号、2026年9月30日:施行日、対象、対象外の具体的条件、長期収載品との関係。
https://www.mhlw.go.jp/content/001754355.pdf

[3] 厚生労働省「要指導医薬品又は一般用医薬品との代替性が特に高い医療用医薬品の処方又は調剤に係る一部保険外療養における費用の計算方法について」2026年9月30日事務連絡:費用の計算、端数処理、計算例、消費税の検討状況。
https://www.mhlw.go.jp/content/001754370.pdf

[4] 厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について(医療保険部会とりまとめ)」:対象成分・品目数と制度の概要。2026年10月13日確認。詳細条件は9月30日通知[2]を参照。
https://www.mhlw.go.jp/content/001753114.pdf

[5] 厚生労働省「要指導医薬品又は一般用医薬品との代替性が特に高い医療用医薬品の処方又は調剤に係る一部保険外療養の対象医薬品等について」2026年9月30日事務連絡:対象薬と対象外条件のリスト、傷病名一覧の位置付け、妊娠中等と授乳中の対象薬の違い。
https://www.mhlw.go.jp/content/001754645.pdf

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