NISAを始めるとき、「毎月いくら積み立てればよいのか」と迷うことがあります。
積立額に一律の正解はありません。生活防衛資金と近い将来に使うお金を現金で確保し、毎月の家計に残る金額から、継続できる額を決めます。
つみたて投資枠は年間120万円ですが、上限まで使う必要はありません。家計を圧迫して途中で取り崩すより、金額を抑えて継続できる状態をつくることが重要です。
この記事では、積立額を家計から計算する方法と、月1万・2万・3万円を20年間積み立てた場合の試算を紹介します。
NISAの上限は積立目標ではない
NISAのつみたて投資枠は年間120万円です。毎月同じ金額を積み立てる場合は、月10万円が年間上限に相当します。
また、成長投資枠は年間240万円で、両方を合わせた年間投資枠は最大360万円です。非課税保有限度額は合計1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円までです。
これらは制度上の上限であり、目標額ではありません。月10万円を積み立てられなくても、NISAを利用する意味がなくなるわけではありません。
NISAの積立額を決める4つの手順
1.毎月と年間の支出を把握する
まず、手取り収入から毎月の生活費を差し引きます。家賃、食費、通信費、保険料などに加えて、次のような毎月ではない支出も確認します。
- 固定資産税や自動車税
- 車検や自動車保険
- 家電の買い替え
- 旅行・帰省費用
- 冠婚葬祭費
年間で発生する支出は12か月で割り、毎月の支出として確保しておくと、積立可能額を過大に見積もりにくくなります。
2.生活防衛資金を現金で確保する
生活防衛資金とは、病気、失業、収入減、急な出費などに備える現金です。必要額は、最低限の月間支出、収入減に備えたい期間、家族構成や利用できる給付の条件から考えます。一律の月数で十分とは判断せず、入金が遅れる場合の支払いも確認します。
生活防衛資金が不足している場合は、NISAの積立額を抑えるか、現金の確保を優先します。
3.近い将来に使うお金を分ける
教育費、住宅購入、車の買い替えなど、使う時期が決まっているお金は、NISAとは別に準備します。
投資信託は必要な時期に値下がりしている可能性があります。数年以内に使う予定のあるお金は、預貯金など価格変動の小さい方法で確保するのが基本です。
4.残った金額から継続できる額を決める
積立可能額は、次の考え方で計算できます。
毎月の積立可能額=手取り収入-毎月の支出-将来の支出に備える現金貯蓄
計算上3万円残っても、すべてを投資する必要はありません。家計の変動に備えて一部を残し、例えば2万円をNISA、1万円を現金として確保する方法もあります。
家計の状態別に考える積立額
| 家計の状態 | 積立額の考え方 |
|---|---|
| 生活防衛資金が不足している | 現金の確保を優先し、NISAは少額または一時停止 |
| 生活防衛資金はあるが、近い将来に大きな支出がある | 予定資金を現金で準備し、残った金額をNISAへ |
| 生活防衛資金と予定資金を確保できている | 毎月の黒字から継続できる額を設定 |
| 収入や支出が月によって変動する | 少なめに設定し、余裕がある月は現金を残す |
「手取りの10%」など一律の割合で決めるより、家計と今後の予定を確認して決めるほうが現実的です。
月1万・2万・3万円を20年間積み立てた場合
積立額による違いを確認するため、20年間積み立てた場合を試算します。
| 毎月の積立額 | 年率0% | 年率3% | 年率5% |
|---|---|---|---|
| 1万円 | 240万円 | 約328万円 | 約411万円 |
| 2万円 | 480万円 | 約657万円 | 約822万円 |
| 3万円 | 720万円 | 約985万円 | 約1,233万円 |
毎月末に240回積み立て、月率を「仮定した年率÷12」として計算した概算です。0%以外は「毎月の積立額 ×{(1+月率)の240乗 −1}÷月率」で求めます。年率0%は積立元本と同額です。税金・手数料は考慮していません。
年率3%や5%は将来の成果を示すものではありません。実際の運用では価格が上下し、元本を下回る場合があります。金融庁のつみたてシミュレーターでも、金額・利回り・期間を変えて試算できます。
マイナスの場合も確認します。同じ計算条件で仮定年率を−2%にすると、20年後は月1万円で約198万円、月2万円で約396万円、月3万円で約594万円です。これは特定商品の予測ではなく、必要額を利回りだけに頼って準備しないための試算です。
月1万円から始めてもよい?
月1万円でも、積み立てた分だけ将来の資産形成につながります。ただし、必要な金額を準備できるかは、積立期間と運用成果によって異なります。
最初は月5,000円や1万円に設定し、家計に問題がないことを確認してから増額する方法もあります。一方、生活防衛資金や予定資金を確保できている場合は、最初から家計に合う金額を設定しても構いません。
同じ商品に投資する場合、積立額を増やしても値動きの割合は変わりません。ただし、利益と損失の金額は積立額に応じて大きくなります。
積立額を見直すタイミング
相場が上がった、下がったという理由だけで、積立額を頻繁に変更する必要はありません。一方、家計や投資目的が変わった場合は見直します。
- 収入や固定費が変わった
- 結婚、出産、転職、住宅購入などがあった
- 生活防衛資金を取り崩した
- 近い将来に使う予定のお金が増えた
- 投資の目的や目標時期が変わった
大きな変化がなくても、年に1回程度、家計と積立額が合っているかを確認すると管理しやすくなります。
積み立てる商品は別に考える
積立額と投資する商品は、分けて考えます。積立額を決めた後に、投資対象、地域の分散、費用、値動きなどを確認して商品を選びます。
オルカンとS&P500の違いは、次の記事で比較しています。
→ NISAの投資信託はどう選ぶ?オルカンとS&P500を比較
まとめ
- つみたて投資枠の年間120万円は上限であり、目標額ではない
- 生活防衛資金と近い将来に使うお金を現金で確保する
- 年間の臨時支出も月割りしてから積立可能額を計算する
- 毎月の黒字をすべて投資せず、家計に余裕を残してもよい
- 相場ではなく、家計や目的が変わったときに積立額を見直す
積立額の正解は、人によって異なります。まずは家計を整理し、下落時にも生活へ影響せず続けられる金額を設定しましょう。
2026年9月10日の更新:生活防衛資金の一律の月数を条件別の考え方に改め、積立試算の計算式とマイナスの仮定を補いました。以下の従来の確認日とは区別して記載しています。
この記事の情報について
- 情報の確認日:2026年8月24日
- 執筆者:たつまる(病院薬剤師・NISA利用者)
- 主な確認先:金融庁「NISAを知る」、金融庁「資産形成の基本」、金融庁「つみたてシミュレーター」
シミュレーションは一定の利回りが続くと仮定した概算で、将来の運用成果を保証するものではありません。制度や商品情報は変更されることがあるため、利用前に金融庁・金融機関・運用会社の最新情報をご確認ください。
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本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定商品の購入を勧めるものではありません。投資信託には元本割れの可能性があります。最終的な投資判断は、ご自身の目的とリスク許容度に基づいて行ってください。
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