ETFは、証券取引所に上場している投資信託です。1つの商品で複数の銘柄や資産に投資でき、株式と同じように市場が開いている時間に売買できます。
ただし、「ETFなら低コストで安全」とは限りません。特定の業種に集中する商品や、値動きを何倍にもするレバレッジ型などもあり、商品によってリスクは大きく異なります。
この記事では、ETFの仕組み、投資信託との違い、費用、NISAでの注意点、選び方を順番に解説します。
ETFとは
ETFは「Exchange Traded Fund」の略で、日本語では上場投資信託と呼ばれます。
日経平均株価やS&P500などの指数への連動を目指す商品が代表的です。ほかにも、債券、REIT、金などの商品、特定の業種へ投資する商品、指数への連動を目指さないアクティブETFがあります。
ETFという名前は取引方法を表しているだけで、投資先や値動きの大きさを表すものではありません。
ETFの市場価格と基準価額
ETFには、市場価格と基準価額があります。
- 市場価格:証券取引所で実際に売買される価格。買い手と売り手の需給で変動する
- 基準価額:ETFが保有する資産から費用などを差し引いて計算した、1口あたりの純資産価値
市場価格は基準価額に近づく仕組みがありますが、必ず一致するわけではありません。売買が少ないときや市場が混乱しているときは、両者の差が大きくなる場合があります。
また、画面には「売りたい人の価格」と「買いたい人の価格」が表示されます。この差をスプレッドと呼び、差が広いほど売買時の負担が大きくなりやすい点に注意が必要です。
指値注文と成行注文
| 注文方法 | 仕組み | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 指値注文 | 買う上限価格や売る下限価格を指定する | 想定外の価格で成立しにくい | 条件に合わなければ成立しない |
| 成行注文 | 価格を指定せず、成立を優先する | 取引が成立しやすい | 急変時や売買の少ない商品では想定外の価格になる場合がある |
初心者が売買価格を管理したい場合は、指値注文の方が分かりやすいことがあります。ただし、必ず成立するわけではありません。
基準価額との差と売買の価格差を分けて読む
次は仕組みを理解するための仮の価格です。実際の銘柄や相場ではありません。1口当たりで、表示されている前営業日の基準価額が1,000円、今の最良買い気配が995円、最良売り気配が1,005円だったとします。
| 見ているもの | この例での差 | 意味 |
|---|---|---|
| 売り気配と買い気配 | 1,005円 − 995円 = 10円 | 提示価格が変わらず、その価格で売買できた場合でも、買ってすぐ売ると1口当たり10円の差が生じる。手数料は別 |
| 売り気配と前営業日の基準価額 | 1,005円 − 1,000円 = 5円 | 比較時点が異なる。5円高いだけで、現在の資産価値に対して割高だとは断定できない |
注文前には、価格の時点、買い・売り気配と数量、売買単位、基準価額の算出日を分けて確認します。指値は価格に条件を付けられますが、約定を保証するものではありません。市場価格・基準価額・対象指標のずれについては、日本取引所グループ「ETFのリスク」も参照してください。
ETFと一般的な投資信託の違い
| 比較項目 | ETF | 一般的な投資信託 |
|---|---|---|
| 上場 | 証券取引所に上場 | 通常は上場していない |
| 取引価格 | 市場が開いている間に変動する市場価格 | 通常は1日1回決まる基準価額 |
| 注文方法 | 指値・成行などを選べる | 金額または口数を指定して申し込む |
| 必要金額 | 市場価格×商品ごとの売買単位 | 金融機関によっては少額から購入可能 |
| 自動積立 | 証券会社や商品によって対応が異なる | 対応する金融機関が多い |
| 主な売買コスト | 売買手数料やスプレッド | 購入時手数料など。無料の商品も多い |
| 保有中の費用 | 信託報酬など | 信託報酬など |
投資信託の詳しい仕組みは、投資信託の基本で解説しています。
ETFのメリット
- 市場価格を見ながら売買できる:取引時間中に指値や成行で注文できる
- 分散しやすい:1つの商品で複数の銘柄や資産に投資できる商品がある
- 保有中の費用が低い商品もある:同じ投資対象の商品同士で比較しやすい
- 選択肢が幅広い:株式、債券、REIT、商品、テーマなどから選べる
- 情報を確認しやすい:基準価額、純資産総額、構成銘柄などが公表される
ただし、分散の程度や費用は商品によって異なります。ETFであること自体が、十分な分散や低コストを保証するわけではありません。
ETFのデメリットとリスク
| 主なリスク・注意点 | 内容 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 価格変動 | 投資先の下落により市場価格や基準価額が下がる | 投資対象と過去の値動きを確認 |
| 為替変動 | 外国資産では円高が円換算価格の下落要因になる | 投資地域と為替ヘッジの有無を確認 |
| 価格のずれ | 市場価格が基準価額から離れる場合がある | 基準価額との乖離を確認 |
| 流動性 | 売買が少ないと希望価格で取引しにくい | 売買高とスプレッドを確認 |
| 連動のずれ | 対象指数とETFの運用成績が完全には一致しない | 指数との連動状況を確認 |
| 上場廃止・繰上償還 | 条件によって取引終了や信託終了となる場合がある | 純資産総額と商品資料を確認 |
投資先が外国資産の場合、東証で円建て取引されるETFでも為替の影響を受けることがあります。「円で買えるから為替リスクがない」とは限りません。
ETFの種類ごとに確認するリスク
| 種類 | 主に確認するリスク | 資料で確認する点 |
|---|---|---|
| 国内・外国債券ETF | 金利、信用、外国資産の為替 | 債券の期間・信用力、為替ヘッジ |
| 国内・全世界株式ETF | 株価下落、国や業種への偏り | 対象指数と組入れ比率 |
| REIT ETF | 不動産市況、金利、投資先の偏り | 地域・用途・銘柄の構成 |
| 金・商品ETF | 商品価格、為替、先物利用時の要因 | 現物・先物等の運用方法と価格連動の仕組み |
| テーマ・業種ETF | 特定の事業環境への集中 | 選定ルールと上位銘柄の比率 |
| レバレッジ・インバース型 | 日々の変動の積み重なりによる乖離 | 何の「日次」騰落率を何倍にする商品か |
この表はリターンの順位ではありません。同じ分類でも、運用方法や組入れ比率によってリスクは異なります。
レバレッジ型・インバース型は、指数の1日ごとの変動率に一定の倍率で連動することを目指します。上昇と下落を繰り返す相場では、長期間の値動きが単純な倍率にならないため、長期保有を前提とする初心者向けの商品とはいえません。
国内ETFと海外ETFの違い
| 比較項目 | 国内ETF | 海外ETF |
|---|---|---|
| 取引市場 | 東京証券取引所など | 米国など海外の証券取引所 |
| 取引通貨 | 主に円 | 米ドルなど |
| 取引時間 | 日本市場の取引時間 | 現地市場の取引時間 |
| 主な売買コスト | 国内株式の売買手数料など | 外国株式の売買手数料、為替手数料など |
| 税金 | 国内制度に基づく | 現地課税が残る場合がある |
| 確認点 | 売買単位、流動性、基準価額とのずれ | 左記に加え、為替、現地税制、取引時間 |
国内ETFでも外国株式や外国債券へ投資する商品があります。国内・海外という区分と、実際の投資先は分けて確認しましょう。
ETFにかかる費用
| 費用 | 発生する場面 | 確認点 |
|---|---|---|
| 売買手数料 | 購入・売却時 | 証券会社、国内・海外、取引金額によって異なる |
| 信託報酬・管理費用 | 保有中 | ETFの資産から継続的に差し引かれる |
| スプレッド | 売買時 | 売値と買値の差。売買が少ない商品では広がる場合がある |
| 為替手数料 | 海外ETFの外貨交換時など | 証券会社や決済方法によって異なる |
| その他の費用 | 商品による | 先物取引費用など、信託報酬以外の費用も確認する |
ETFと投資信託を比べるときは、信託報酬だけでなく、売買手数料、スプレッド、為替手数料まで含めて考えます。特定の数値だけで「ETFの方が必ず安い」と判断することはできません。
ETFの分配金
ETFは、保有する株式の配当や債券の利子などをもとに分配金を支払う場合があります。分配金が支払われると、その分だけETFの資産が減るため、分配金を受け取っただけで資産全体が同額増えるわけではありません。
一般的な投資信託のような自動再投資に対応していない場合は、再投資を自分で行います。分配回数や利回りだけでなく、分配金を含めた運用成績を確認しましょう。
NISAでETFを買う場合
NISAの成長投資枠では、対象となる国内ETFや海外ETFを購入できます。つみたて投資枠の対象ETFは限られており、すべてのETFをNISAで購入できるわけではありません。
国内ETFの分配金をNISAで非課税にするには、受取方法を株式数比例配分方式に設定する必要があります。これは、分配金を証券会社の口座で受け取る方法です。
海外ETFでは、NISAでも海外での税金が差し引かれる場合があります。また、NISA口座の損失は、課税口座の利益との損益通算や繰越控除ができません。
NISAの基本は、NISAの仕組みと注意点で確認できます。
ETFを選ぶときの確認項目
- 投資対象:どの国・資産・業種へ投資するか
- 運用方法:指数連動型、アクティブ型、レバレッジ型などのどれか
- 費用:信託報酬だけでなく売買手数料やスプレッドも含める
- 純資産総額:十分な規模があり、減少が続いていないか
- 売買高:取引が少なすぎず、売買しやすいか
- 価格のずれ:市場価格と基準価額が大きく離れていないか
- 連動状況:対象指数との差が大きくないか
- 分配方針:分配回数、実績、再投資の方法
- 為替:外国資産への投資や海外ETFでは為替の影響を確認する
最初に投資対象を決め、その後で同じ指数や資産へ投資するETF同士を比較するのが基本です。
ETFを購入する5ステップ
1.目的と運用期間を決める
老後資金、配当収入、資産の分散など、ETFを使う目的を決めます。生活費や数年以内に使う予定のお金は投資しません。
2.投資対象を決める
株式、債券、REIT、金などから選び、国内・米国・全世界など投資地域を決めます。
3.商品と必要金額を確認する
銘柄コード、現在価格、売買単位を確認します。ETFは「1株」ではなく、商品ごとに定められた口数で売買します。
4.注文方法を決める
売値と買値、スプレッド、売買高を確認し、指値または成行で注文します。海外ETFでは取引時間と為替も確認します。
5.購入後も定期的に確認する
価格だけでなく、投資目的、純資産総額、費用、指数との連動状況、分配方針に変更がないかを確認します。
投資信託との使い分けを詳しく確認したい方へ
ETFの仕組みを理解したうえで非上場の投資信託と比べる場合は、積立・注文・分配金の再投資など、自分が続けやすい購入・保有方法を確認します。初心者だから必ず投資信託、慣れた人だからETFという区分ではありません。
投資信託との違いや、積立・分配金・コスト・NISAを含めた使い分けは、投資信託とETFの違い|積立・分配金・売買方法・NISAでどう使い分ける?で詳しく整理しています。
初心者が避けたい判断
- 「ETFなら低コスト」と考え、売買手数料やスプレッドを確認しない
- 分配金利回りの高さだけで選ぶ
- 売買高が少ない商品を成行で注文する
- 似た指数のETFを複数持ち、投資先を重複させる
- 外国資産へ投資する国内ETFには為替リスクがないと思う
- レバレッジ型やインバース型を一般的な指数連動ETFと同じ感覚で長期保有する
- 近く使う予定のお金で値動きの大きいETFを購入する
よくある質問
ETFは投資信託より必ず低コストですか?
必ずではありません。低コストの投資信託も増えており、ETFでは売買手数料やスプレッド、海外ETFなら為替手数料もかかる場合があります。同じ投資対象の商品同士で総合的に比べます。
ETFは1口から買えますか?
商品によって異なります。1口単位の商品もあれば、複数口が売買単位の商品もあります。必要金額は「市場価格×売買単位」で確認します。
NISAならETFの分配金はすべて非課税ですか?
国内ETFの分配金は、株式数比例配分方式で受け取る必要があります。海外ETFでは、NISAでも海外での税金が残る場合があります。
ETFは何本持てば分散できますか?
本数では決まりません。1本で世界中の株式へ投資するETFもあれば、1つの業種だけに集中するETFもあります。構成銘柄や投資地域の重複を確認します。
まとめ
- ETFは、証券取引所に上場している投資信託
- 市場価格を見ながら、指値や成行で売買できる
- 市場価格と基準価額がずれる場合がある
- 売買単位は商品ごとに異なる
- 信託報酬だけでなく、売買手数料やスプレッドも確認する
- 投資対象、流動性、為替、分配方針を確認して選ぶ
自動積立のしやすさを重視するなら一般的な投資信託、売買価格を指定したいならETFが候補になります。どちらも元本保証ではないため、商品名ではなく投資先とリスクを確認することが重要です。
2026年9月10日の更新:商品分類による期待リターンの順位づけをやめ、ETFの価格差を読み分ける仮例を追加しました。日本取引所グループのETF概要・リスク説明を再確認しました。以下の従来の確認日とは区別して記載しています。
この記事の情報について
- 情報の確認日:2026年8月23日
- 執筆者:たつまる(病院薬剤師・ETFと投資信託を利用した資産形成を実践)
- 主な確認先:日本取引所グループ、金融庁、日本証券業協会
制度、税制、商品の条件は変更されることがあります。購入前に、証券会社と運用会社の最新情報、商品資料を必ず確認してください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定のETFの購入を勧めるものではありません。
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参考資料:
日本取引所グループ「ETFの概要」
日本取引所グループ「ETFの売買制度」
日本取引所グループ「ETFのリスク」
日本取引所グループ「レバレッジ型商品のリスク」
日本証券業協会「知っておきたいNISAのポイント」
金融庁「NISA特設ウェブサイト」


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