親が亡くなり、預貯金のほかに自宅や株式がある。生命保険金も受け取ったけれど、何から確認すればよいのか。相続税で最初に整理したいのは、「財産の合計」「法定相続人の数」「利用する特例」「期限」です。
相続税の基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数。ただし、通帳の残高だけで申告不要とは判断できません。過去の贈与や不動産も含めて確認し、税額が0円になる理由まで分けて考えましょう。
情報確認日:2026年9月13日。国税庁の令和8年4月1日現在の法令等に基づく資料と、裁判所・専門職団体の公式案内を確認しています。国内の一般的な家族の相続を中心に扱います。運営者は税理士・司法書士・弁護士ではありません。個別の税額、財産評価、遺産分割や法律判断は、税務署・各分野の専門家へ確認してください。
相続税とは
相続税は、亡くなった人(被相続人)から相続や遺贈などによって財産を取得した人に関係する税金です。遺産があるだけで全員に課税されるわけではなく、非課税財産、債務、葬式費用、一定の贈与財産を反映した金額で判断します。国税庁:相続税がかかる場合
| 今の状況 | 最初に確認すること |
|---|---|
| 親の預貯金は少ないが、自宅がある | 土地・建物を含めた相続税評価額を調べる |
| 保険金や死亡退職金を受け取った | 課税対象と非課税枠を、それぞれ確認する |
| 以前に親からお金をもらった | 暦年課税か相続時精算課税か、いつ受け取ったかを確認する |
| 配偶者や自宅の特例で税額が0円になりそう | 特例を使うための申告が必要か確認する |
| 借金があり、相続するか迷っている | 相続放棄などの期限を先に確認する。相続税の10か月とは別 |
この記事の役割は、相続が起きた後の確認順序をつかむことです。生前に家族からお金を受け取る場合の110万円の基礎控除や贈与時の申告は、贈与税はいくらから?110万円・暦年課税・相続時精算課税の解説に分けてまとめています。
相続税はいくらから?基礎控除の計算
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数です。相続する人全員の課税価格を合計した額と比べる控除であり、受け取る人ごとに3,000万円ずつ差し引くものではありません。国税庁:相続税の計算
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,000万円+600万円×1=3,600万円 |
| 2人 | 3,000万円+600万円×2=4,200万円 |
| 3人 | 3,000万円+600万円×3=4,800万円 |
| 4人 | 3,000万円+600万円×4=5,400万円 |
例えば、配偶者と子2人が法定相続人で、養子・相続放棄等の特別な事情がない場合は3人となり、基礎控除は4,800万円です。自分が受け取る預金額だけを4,800万円と比較するのではなく、相続全体を集計します。
法定相続人はどう数える?
法律上の配偶者は相続人となり、配偶者以外は次の順序で確認します。内縁関係の人は法定相続人に含まれません。下表は基本的な順位です。国税庁:相続人の範囲と法定相続分
| 順位 | 基本となる相続人 |
|---|---|
| 第1順位 | 子。先に死亡している子がいる場合は、その子の子などが代わって相続人になる場合がある |
| 第2順位 | 第1順位の人がいない場合の父母など直系尊属。父母と祖父母がいる場合は近い世代を優先 |
| 第3順位 | 第1・第2順位の人がいない場合の兄弟姉妹。先に死亡している場合は、その子が代わる場合がある |
配偶者・子・父母・兄弟姉妹を全員一緒に数えるわけではありません。戸籍等で相続関係を確認し、代襲相続などがあるときは人数を自己判断で決めないようにします。
相続放棄と、税金の計算上の人数は分ける
民法上、相続放棄をした人は初めから相続人でなかったものとされます。一方、相続税の基礎控除などで使う人数は、相続放棄がなかったものとして数えます。税務上の人数に含まれることと、その人が実際に財産を相続することは別です。国税庁:基礎控除の法定相続人の数
養子には相続税上の人数制限がある
税額計算に含める養子は、原則として実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までです。ただし、特別養子や配偶者の実子を養子にした場合など、実子として扱う例外があります。相続人としての権利そのものを人数制限で否定するルールではありません。国税庁:相続人の中に養子がいるとき
相続税の対象になる主な財産
対象は現金だけではありません。金銭に見積もることのできる経済的価値のある財産を確認します。次の表は、財産の見落としを防ぐための整理例です。国税庁:相続税がかかる財産
| 財産の例 | 確認する資料・情報の例 |
|---|---|
| 現金・預貯金 | 手元の現金、金融機関の残高証明、通帳・入出金履歴 |
| 株式・投資信託など | 証券会社の残高資料、保有商品・数量。購入時の金額だけで評価しない |
| 土地・建物 | 登記情報、固定資産税の資料、持分、利用状況 |
| 貸付金・貴金属など | 契約書、貸付残高、財産の内容と価額を確認できる資料 |
| 一定の死亡保険金・死亡退職金 | 保険の契約・保険料負担者・受取人、勤務先の支給資料 |
土地は路線価方式や倍率方式、建物は原則として固定資産税評価額など、財産ごとに評価方法があります。分譲マンションには一定の補正をする場合もあるため、購入価格や不動産会社の売却査定額をそのまま合計する計算ではありません。国税庁:宅地や建物の評価方法
将来の家計のために財産を一覧にする考え方は、資産形成の基本にもつながります。ただし、相続税申告に使う財産評価と、家計で把握する資産残高は目的が異なります。
生命保険金にも相続税がかかる?
亡くなった人が保険料の全部または一部を負担していた死亡保険金は、その負担関係に応じて「みなし相続財産」として相続税の対象になります。遺産分割の対象かどうかと、相続税の対象かどうかは別に確認します。
相続人が受け取る対象の死亡保険金には、500万円×法定相続人の数の非課税枠があります。相続人全員が受け取った対象の保険金の合計に対する枠で、受取人ごとに同じ枠が増えるわけではありません。国税庁:相続税の課税対象になる死亡保険金
人数に数える人と、非課税を受けられる人は別です。相続放棄した人は、枠を計算する法定相続人の数には含めますが、その人自身が受け取った保険金には、この非課税は適用されません。相続人以外の受取人も対象外です。
例えば、法定相続人が3人、相続放棄はなく、亡くなった人が保険料を全額負担した死亡保険金2,000万円を相続人だけが受け取る場合、枠は1,500万円、課税対象に含める部分は500万円です。この500万円がそのまま納税額になるわけではありません。
| 保険料の負担関係の例 | 確認する税金 |
|---|---|
| 亡くなった人が負担し、別の人が受け取る | 相続税 |
| 受取人自身が保険料を負担していた | 所得税 |
| 亡くなった人・保険料負担者・受取人がそれぞれ別 | 贈与税 |
上の表は保険料を1人が負担した基本例です。複数人の負担や年金形式の受取りなどは、保険会社の資料と税務上の取扱いを確認してください。国税庁:死亡保険金を受け取ったとき
死亡退職金にも別の非課税枠があります。亡くなった人の死亡後3年以内に支給が確定した一定の退職手当金等について、相続人が受け取る場合は、死亡保険金とは別に500万円×法定相続人の数を確認します。受取人などの要件もあります。国税庁:相続税の課税対象になる死亡退職金
借金や葬式費用は差し引ける?
亡くなった時点に存在し、確実と認められる借入金や未払金などは、一定の相続人等が負担するものについて控除対象になります。被相続人に課される一定の未納税金も確認します。お墓など非課税財産の購入に関する未払代金は、差し引けません。国税庁:相続財産から控除できる債務
請求書が葬儀社から来たというだけでは、すべてが控除対象とは限りません。費用の内訳と、誰が負担したかを残しましょう。
| 葬式費用の区分 | 代表例 |
|---|---|
| 控除対象となるもの | 火葬・埋葬・納骨、遺体や遺骨の搬送、通夜など通常葬式に必要な費用、葬式の読経料等 |
| 葬式費用として控除できないもの | 香典返し、墓石や墓地の購入・借入れ、初七日など法事の費用 |
国税庁:相続財産から控除できる葬式費用。同じ日に葬儀と法事を行った場合も、名目だけでまとめず、内訳を確認します。
医療機関から死亡後に届いた請求書も、診療を受けた人、診療日、支払日、実際の負担者を分けて整理すると、未払債務の確認に役立ちます。亡くなった人の準確定申告の医療費控除には、死亡後に相続人が支払った医療費を含められません。相続税の債務控除と、所得税の医療費控除を同じ判断で処理しないでください。国税庁:準確定申告における医療費控除
生前贈与した財産も相続税に加算される?
被相続人から相続・遺贈などで財産を取得した人に、その人から受けた暦年課税の贈与があると、対象期間内の贈与時の価額を相続税の課税価格へ加算する場合があります。「家族が過去にもらったお金を全員分、無条件に加算する」というルールではありません。国税庁:贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
2026年の相続に、7年ルールをそのまま当てはめない
2024年1月1日以後の贈与に関する改正で、対象期間は最終的に7年となります。ただし、次の経過措置があります。贈与した年だけでなく、相続開始日を最初に確認することが重要です。
| 相続が始まった日 | 暦年課税の贈与の加算対象期間 |
|---|---|
| 2026年12月31日まで | 死亡日から遡って3年前の日~死亡日 |
| 2027年1月1日~2030年12月31日 | 2024年1月1日~死亡日 |
| 2031年1月1日以降 | 死亡日から遡って7年前の日~死亡日 |
例えば、2026年9月12日に相続が始まった場合、対象期間は2023年9月12日から2026年9月12日までです。2026年の記事を読んで「7年前の贈与まで全部足す」と判断しないようにしましょう。
110万円以下でも加算される場合がある
対象となる暦年課税の贈与は、贈与税が課税されたかどうかにかかわらず確認します。年間110万円以下で贈与税の申告が不要だった贈与や、死亡した年の贈与も対象になり得ます。住宅取得等資金の非課税を適用した金額など、加算しない財産もあるため、当時の申告書・契約・適用制度を集めます。
延長された期間の100万円控除は、毎年ではなく総額
国税庁は、相続開始日が2027年1月2日以後の場合、対象期間内のうち「相続開始前3年以内」より前の贈与について、その価額の合計から総額100万円までは加算しないと説明しています。受け取った年ごとに100万円ずつ控除する制度ではなく、直前3年分から差し引くものでもありません。
2027年1月1日時点では対象期間の始まりと3年前の日がともに2024年1月1日となり、3年を超える部分がまだありません。このため、表の移行開始日と100万円控除の実際の説明上の日付を区別しています。国税庁:加算額の計算方法と100万円の取扱い
前提を決めた例として、2031年に相続が始まり、同じ被相続人からの加算対象となる暦年課税贈与が「直前3年内に80万円」「それより前の対象期間に計160万円」だったとします。他の除外特例がなければ、加算額は80万円+(160万円-100万円)=140万円です。相続税額を計算した例ではありません。
相続時精算課税を使っていた場合
相続時精算課税を選択した贈与者が亡くなった場合、対象の贈与財産を原則として贈与時の価額で相続税計算に加えます。暦年課税の「直前3年・最終的に7年」という期間で切り分ける制度ではありません。国税庁:相続時精算課税と相続税額の計算
| 贈与を受けた時期 | 相続税へ加える金額の基本 |
|---|---|
| 2023年12月31日以前 | 精算課税の対象となる贈与財産の価額。年間110万円の基礎控除はなかった |
| 2024年1月1日以後 | 年ごとの精算課税対象贈与の合計から、精算課税の年間110万円の基礎控除を引いた残額 |
2,500万円の特別控除は「相続税も完全非課税になる枠」ではありません。2024年以後の年間110万円の基礎控除に相当する部分と、2,500万円の特別控除を使った部分では、相続時の扱いが異なります。複数の特定贈与者がいた場合の110万円は、贈与者ごとに満額使わず、あん分額を確認します。
相続発生後は、過去の贈与税申告書と「相続時精算課税選択届出書」を探すことが出発点です。贈与時に納めたこの制度の贈与税は相続税から控除し、控除しきれない分は申告によって還付を受ける仕組みがあります。
選択要件、110万円と2,500万円の違い、一度選ぶと同じ贈与者について暦年課税に戻れない点は、贈与税記事の相続時精算課税の説明で確認できます。
配偶者なら相続税がかからない?
配偶者の税額軽減では、配偶者が遺産分割や遺贈で実際に取得した正味の遺産額について、1億6,000万円と配偶者の法定相続分相当額の、どちらか多い金額まで、配偶者に相続税がかからない仕組みです。配偶者であれば無条件に全額非課税となるわけではありません。国税庁:配偶者の税額の軽減
この軽減を使うには、明細を記載した相続税申告書などと、取得財産が分かる書類等を提出します。基礎控除を超えているが、この軽減により配偶者の税額が0円になる場合は、申告を省略しないことが大切です。他の相続人の税額まで自動的に0円になる制度でもありません。
原則として、申告期限までに分割されていない財産には適用できません。期限後の分割による手続きもありますが、必要書類と期限があります。「まだ分けていないので申告も後でよい」とは考えず、早めに税務署・税理士へ確認してください。
自宅の土地は小規模宅地等の特例を確認
一定の特定居住用宅地等は、小規模宅地等の特例により、330㎡までの部分の評価額を80%減額できる場合があります。税額自体を80%引く制度ではなく、土地等の課税価格を計算する際の特例です。国税庁:小規模宅地等の特例
確認するのは、自宅という名称や面積だけではありません。亡くなる直前の利用状況、取得者、同居・生計の関係、申告期限までの保有・居住などです。配偶者、同居親族、それ以外の親族で要件が異なります。配偶者には取得者ごとの要件がない一方、同居親族には原則として期限までの居住・保有の継続などが求められます。
老人ホームに入所していた場合でも、一定の条件を満たせば対象となることがあります。逆に「以前住んでいた家だから必ず対象」とは判断できません。建物そのものの価額まで、この特例で一律に80%減額するものでもありません。
特例で基礎控除以下になる場合も、申告が必要です。この特例を受けるには、適用を受ける旨を申告書に記載し、計算明細や遺産分割協議書の写しなどを添付します。面積・要件を確認する前に、自宅の評価額を最初から2割として申告不要と判断しないでください。
基礎控除以下なら申告不要?
原則として、小規模宅地等の特例などを使う前の課税価格の合計が基礎控除以下であれば、相続税の申告・納税は不要です。ここでいう合計には、必要な贈与加算や債務・非課税財産の整理を反映します。国税庁:相続税の申告および納税が必要な場合
| 税額が0円になる理由 | 相続税の申告の考え方 |
|---|---|
| 必要な財産・贈与等を集計しても、特例適用前から基礎控除以下 | 原則として申告・納税不要 |
| 小規模宅地等の特例を使って基礎控除以下になる | 特例を受けるために申告が必要 |
| 配偶者の税額軽減を使って0円になる | 軽減を受けるために申告が必要 |
| 相続時精算課税の既納贈与税が相続税より多い | 還付を受けるには申告が必要 |
「通帳だけなら控除内」が変わる例
仮定の例:相続人は配偶者と子2人、基礎控除4,800万円とします。財産の税務上の価額・債務・非課税分を整理した贈与加算前の合計が4,700万円で、小規模宅地等の特例は使わないとします。
さらに、相続で財産を取得する子に、2026年開始の相続の直前3年以内に被相続人から受けた、加算対象となる暦年課税贈与が計200万円あれば、合計は4,700万円+200万円=4,900万円。基礎控除との差は100万円になります。ほかの贈与・特例等はない前提です。
この100万円は納税額ではなく、相続税の計算を進めるための課税遺産総額です。現時点の残高だけでは見えない贈与を足すことで、申告の確認が必要になる例です。実際の税額には財産の配分や各種控除等も関係します。
相続税の申告・納税期限
原則として、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納税を行います。通常は死亡した日に知るため、死亡日の翌日から数えるケースが多くなります。申告書を提出するだけでなく、納付も原則として同じ期限です。国税庁:相続税の申告と納税
期限が土曜日・日曜日・祝日等に当たる場合は、その翌日となります。被相続人の死亡時の住所が国内にある場合、提出先は亡くなった人の住所地を所轄する税務署です。相続人の住所地ではありません。e-Taxによる提出も利用できます。国税庁:相続税の申告手続
遺産分割が終わらなくても、申告期限は自動では延びません。未分割の場合は、法定相続分等に従って計算した申告・納税を行い、後の分割に応じた修正申告・更正の請求などを確認します。特例が使える時期も含め、期限前に相談しましょう。
納税資金を確認する際は、不動産などを含む財産額と、期限までに納付できる現金を分けます。原則は金銭による一括納付です。延納・物納には別の要件と申請があるため、資金が足りないと分かった時点で確認します。
10か月の間に何を確認する?
まず期限の短い手続きを確認しながら、相続人・財産・贈与の記録を集めます。すべてを順番に完了させてから次へ進むのではなく、不動産評価や専門家への相談は並行して進めると整理しやすくなります。
- 期限と相続関係を確認:死亡日、死亡を知った日、戸籍等で確認する相続人、遺言書の有無を整理する。
- 財産と債務を一覧にする:預貯金だけでなく、不動産・有価証券・保険金・退職金・未払金を分ける。
- 過去の贈与を調べる:契約書、振込記録、贈与税申告書、精算課税の選択届出を確認する。
- 基礎控除と概算を比べる:不明な財産額はゼロとせず「未確認」として残し、評価を確認する。
- 分割と特例を検討:税額だけでなく、誰が住むか、誰が保有するか、納税資金をどう用意するかも確認する。
- 申告・納税の準備:必要な申告書類、添付資料、納付方法を確認し、控えと記録を保管する。
| 別に確認する手続き | 原則の期限・起算点 |
|---|---|
| 相続放棄の申述 | 自己のために相続が始まったことを知ったときから3か月以内 |
| 必要な場合の所得税の準確定申告・納税 | 相続開始を知った日の翌日から4か月以内 |
| 必要な場合の相続税申告・納税 | 被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内 |
相続放棄は家庭裁判所への申述です。調査しても判断できないときは、申立てによって熟慮期間を伸長できる制度があります。個別事情で起算点等の確認が必要な場合もあるため、10か月あると思って放置しないでください。裁判所:相続の放棄の申述、裁判所:相続の承認又は放棄の期間の伸長
準確定申告は、亡くなった人の所得税等について必要な場合に行う手続きです。相続税とは税目も対象も違います。国税庁:納税者が死亡したときの確定申告
遺族自身の副業・医療費控除・投資等による所得税の申告判断は、会社員の確定申告ガイドで別に整理できます。亡くなった人の申告と自分の申告を混ぜないようにしましょう。
相続税はどうやって計算する?
相続税は、実際に受け取った財産に直接税率を掛けるだけでは計算できません。全体の税額を計算してから、各人へ配分します。国税庁:相続税の計算手順
- 相続・遺贈・みなし相続財産、非課税分、債務・葬式費用、必要な贈与加算等を反映し、各人の課税価格を計算する。
- 各人の課税価格を合計する。
- 基礎控除を差し引き、課税遺産総額を求める。
- 法定相続分で取得したと仮定して各人分を計算し、税率を適用して相続税の総額を求める。
- 実際の各人の課税価格の割合に応じて、総額を割り振る。
- 対象者についての2割加算や、配偶者の税額軽減等の各種控除を反映し、各人の納付税額を求める。
計算例で出た「基礎控除を超える100万円」に、そのまま一つの税率を掛けて各人の納税額とすることはできません。この記事では、税額の自己計算を急ぐよりも、財産の漏れ・人数・特例の要件を確認することを優先しています。
相続税でよくある誤解
| 誤解しやすい考え方 | 確認するポイント |
|---|---|
| 遺産が3,000万円を超えたら必ず課税 | 基礎控除には600万円×法定相続人数も含む。正味の額で確認する |
| 相続人1人につき600万円までしか非課税にならない | 3,000万円を加えた、相続全体の基礎控除の式で判断する |
| 相続放棄した人は人数から必ず外す | 基礎控除等の人数は放棄がなかったものとして数える |
| 死亡保険金はすべて相続税 | 保険料負担者と受取人によって、所得税・贈与税となる場合もある |
| 借金は相続税計算に関係しない | 一定の債務は控除対象。非課税財産に関する債務などは対象外 |
| 110万円以下の生前贈与は相続税と無関係 | 暦年課税の加算対象なら110万円以下でも含める |
| 配偶者は税額0円で、申告も不要 | 取得額と要件を確認。税額軽減を使うための申告が必要 |
| 自宅の土地は必ず80%評価減 | 利用状況・取得者等の要件、対象面積と申告手続きを確認する |
| 税額が0円なら必ず申告不要 | 基礎控除内なのか、特例を使った結果なのかを分ける |
相続が発生したら誰に相談する?
同じ「相続の相談」でも、解決したい問題によって依頼先が変わります。ここでは代表的な役割だけを整理します。
| 相談先 | 主に確認したい内容 |
|---|---|
| 税理士 | 相続税の申告要否、財産評価や特例などの税務相談、申告書作成・税務代理 |
| 司法書士 | 相続した不動産の名義変更など、相続登記の相談・申請手続き |
| 弁護士 | 遺産分割など相続人間の紛争、法的な交渉・調停等の対応 |
| 行政書士 | 紛争段階にない事案の遺産分割協議書・相続人関係説明図等の書類作成と関連調査。税務・登記申請業務を除く |
出典:日本税理士会連合会:税理士の仕事、日本司法書士会連合会:相続による名義変更、東京弁護士会:遺言・相続、日本行政書士会連合会:遺言・相続
例えば「自宅の評価額が分からず、相続税申告が必要か迷う」なら税理士、「土地の名義変更を頼みたい」なら司法書士、「分け方でもめている」なら弁護士へ、最初に困りごとを伝えます。複数の手続きがある場合は、担当範囲と他職種との連携を確認しましょう。
一般的な制度や申告書の案内は税務署にも確認できます。個別の申告書作成等を依頼する場合は、依頼する業務、必要資料、報酬に含まれる範囲を確認してください。
相談前には「亡くなった日・相続人の関係・財産と借金の一覧・保険金・贈与の記録・遺言書・困っていること」をまとめます。分からないものを埋めるために相談するので、資料がすべてそろうまで待つ必要はありません。
相続税の確認チェックリスト
- 法定相続人は何人か。相続放棄・養子・代襲相続の確認が必要か。
- 預貯金だけでなく、不動産・株式・投資信託等も把握したか。
- 借入金、未払金、未納税金の記録はあるか。
- 死亡保険金と死亡退職金について、受取人・支給資料を確認したか。
- 被相続人から過去に贈与を受けていないか。相続開始日から対象期間を確かめたか。
- 相続時精算課税の選択届出書や過去の贈与税申告書はないか。
- 自宅などの土地の評価・利用状況・取得者を確認したか。
- 配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使うか。申告条件を確認したか。
- 必要な加算・控除を含めた合計が、基礎控除を超える可能性はないか。
- 相続税の期限まで何か月か。3か月・4か月など別の期限を取り違えていないか。
不明な項目は「該当なし」にせず、資料待ち・確認先・確認予定日を書き添えると、家族間で作業を分担しやすくなります。概算を整理する入口として、国税庁の相続税の申告要否判定コーナーも利用できます。入力した財産や条件が不足すれば判断も変わるため、特例・評価に迷う場合は専門家に確認しましょう。
まとめ
相続税の最初の判断は、必要な財産・債務・贈与を整理した金額が、3,000万円+600万円×法定相続人数を超えるかです。生命保険金等の非課税枠や、一定の債務・葬式費用の控除も確認します。
2026年中に始まる相続の暦年課税贈与の加算対象は、原則として直前3年以内です。将来の7年への延長と、相続時精算課税の扱いを混同しないことが重要です。
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例で税額が0円になっても、申告を省略できるとは限りません。原則10か月の期限と、相続放棄・準確定申告等の別の期限を確認し、財産評価や家族間の調整が難しい場合は早めに相談しましょう。
相続後の生活では、手元の資金、今後の収入、教育費などの支出を整理することも必要です。家族の生活費と将来のお金の優先順位は、子育て世帯のお金の優先順位で確認できます。


コメント