NISAで積み立てている投資信託が下落すると、「このまま続けて大丈夫なのか」「損失が広がる前に売った方がよいのか」と不安になることがあります。
結論として、価格が下がったことだけを理由に、すぐ売却する必要はありません。一方で、家計や資金の使用時期が変わった場合まで、必ず積立を続ける必要もありません。
この記事では、NISAが下落したときに「積立継続・減額・停止・売却」のどれを選ぶか、4つの判断条件から整理します。
先に結論|下落率だけでは判断しない
- 長期目的・余裕資金・分散された商品という前提が変わらなければ、積立継続が基本
- 毎月の積立が家計を圧迫しているなら、減額を検討する
- 生活防衛資金が不足した場合や収入が不安定になった場合は、一時停止も選択肢
- 近く使うお金が必要、投資目的が変わった、商品が自分に合わない場合は、部分売却または売却を検討する
「10%下がったら売る」など、下落率だけで一律に決めるのではなく、家計・使用時期・商品・許容できる値動きを確認することが重要です。
NISAは下落を防ぐ制度ではない
NISAは、投資によって得た売却益や配当・分配金を一定の範囲で非課税にする制度です。損失を防いだり、元本を保証したりする制度ではありません。
株式や投資信託の価格は、市場環境によって上昇することも下落することもあります。NISA口座で保有していても、元本割れする可能性があります。
金融庁は、安定的な資産形成では長期・積立・分散投資が有効と考えられる一方、リスク性商品には元本割れの可能性があると説明しています。
NISAの制度自体を確認したい方は、先にこちらをご覧ください。
▶ NISAとは?初心者向けに仕組み・非課税枠・注意点を解説
最初に確認する4つの条件
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| お金を使う時期 | 数年以内に教育費・住宅費などで使う予定があるか |
| 家計の余裕 | 生活防衛資金を維持しながら積立を続けられるか |
| 保有商品 | 分散状況、手数料、投資対象を理解しているか |
| 値動きへの許容度 | さらに下落しても生活や判断に支障が出ないか |
相場が下落しても、この4条件に変化がなければ、当初の計画を維持する考え方があります。反対に、家計や目的が変わった場合は、相場の状況にかかわらず積立額や資産配分の見直しが必要です。
積立継続・減額・停止・売却の判断基準
| 対応 | 検討しやすい状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| 積立継続 | 長期目的、余裕資金、商品の内容が変わっていない | さらに下落する可能性はある |
| 減額 | 積立を続けたいが、家計負担が大きくなった | 無理に元の金額を維持しない |
| 一時停止 | 生活防衛資金が不足した、収入が不安定になった | 停止中も保有商品は値動きする |
| 部分売却・売却 | 近く使う資金が必要、目的や許容リスクが変わった | 損失確定や、その後の反発を逃す可能性がある |
積立を止めることと、保有商品を売却することは別です。新しい買付だけを一時停止し、保有中の商品はそのままにすることもできます。
下落時に積立を継続する意味
毎回同じ金額を積み立てる定額購入では、価格が高いときは少ない口数を、価格が低いときは多い口数を購入します。購入時期を分散できるため、一度にまとめて購入する場合と比べて、高値で購入するリスクを抑えやすくなります。
ただし、積立を続ければ必ず利益が出るわけではありません。価格が長期間下がり続ければ、積立をしていても評価損が続く可能性があります。
大切なのは、「下落しているから買い増す」のではなく、最初に決めた投資額と資産配分が現在の家計にも合っているかを確認することです。
減額・停止を検討した方がよい場合
- 積立のために生活費を削っている
- 生活防衛資金を取り崩している
- 転職・休職・育児などで収入が減った
- 数年以内に大きな支出を予定している
積立額は、最大限投資できる金額ではなく、下落中でも無理なく継続できる金額から決めます。家計が変わった場合は、相場より生活を優先して問題ありません。
売却を検討してよい場合
- 近く使う予定のお金まで投資していた
- 投資目的や運用期間が変わった
- 特定の国・業種・銘柄へ集中しすぎていた
- 手数料や商品の仕組みを確認し、自分に合わないと判断した
- 値動きが大きく、生活や仕事に支障が出るほど不安を感じる
NISAの商品は全部まとめて売る必要はありません。必要額だけ部分売却し、残りの運用を続けることもできます。
金融庁も、NISA口座の資産は部分的に取り崩せると案内しています。
下落時に避けたい行動
- 不安だけを理由に、保有商品をすべて売却する
- 早く損失を取り戻そうとして、集中投資やレバレッジ商品へ切り替える
- 生活費・借入金・近く使う予定のお金で買い増す
- SNSの予測だけで積立方針を頻繁に変える
相場の底値や反発時期を正確に予測することは困難です。値動きではなく、自分で管理できる積立額・資産配分・手数料を見直します。
4ステップで判断する
- 使う時期を確認する:数年以内に使うお金なら、現金化やリスク縮小を検討
- 家計を確認する:生活防衛資金を維持できないなら、減額または停止
- 商品を確認する:投資対象・分散・手数料が目的に合わないなら見直す
- 許容できる値動きを確認する:前提が変わっていなければ、当初の計画を継続
この順番で考えると、相場のニュースだけに左右されにくくなります。
よくある質問
含み損が何%になったら売るべきですか?
一律の下落率だけで判断することはできません。資金を使う時期、家計、商品の内容、許容できる値動きから判断します。
積立を停止したらNISA口座も終了しますか?
積立設定を停止しても、NISA口座が終了するわけではありません。保有商品を売却せず、新しい買付だけを止めることができます。
下落時は必ず買い増した方がよいですか?
必ず買い増す必要はありません。生活防衛資金と毎月の家計を維持できる範囲にとどめ、借入金や近く使うお金は投資に回さないことが重要です。
売却するなら全部売る必要がありますか?
全部売る必要はありません。必要な金額だけ部分売却する方法もあります。
まとめ
- NISAが下落しても、下落率だけで売却を決めない
- 家計・使用時期・商品・許容できる値動きの4条件を確認する
- 前提が変わっていなければ積立継続、家計が変われば減額・停止も選択肢
- 売却が必要な場合も、一括ではなく部分売却できる
相場を予測するより、自分の家計と投資計画を確認し、続けられる方法へ調整することが大切です。
この記事の情報について
この記事は、2026年8月27日時点の制度と公的資料を基に、一般的な資産形成の考え方を整理したものです。特定の商品・売買時期を推奨するものではありません。投資判断は、ご自身の家計・目的・リスク許容度に基づいて行ってください。
執筆者:たつまる(病院薬剤師・抗菌化学療法認定薬剤師)


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